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STEP(HTML版)

STEP(第209号)

それぞれの寿命
フォレストベンチ研究会 自給シニア会 公文國士

2019年9月12日早朝、面白いニュースが飛び込んできた。太陽系以外の惑星で、初めて水を検出したと英国・UCL(ユニバーシテイ・カレッジ・ロンドン)のギリシャ人研究者らが発表した。水の存在が明らかになったのは、地球から約110光年の距離にある惑星「K2-18b」。地球の2倍の大きさ、重量は約8倍あるそうだ。存在自体は4年前に確認されていたそうだが、宇宙望遠鏡で集められたデータを分析した結果、大気中から水蒸気が見つかったそうである。2年後には、より高性能な宇宙望遠鏡を打ち上げ、生命の痕跡をより詳しく調査する予定という(テレビ朝日 051ch)。

大変な朗報です。というのは、地球もいつまでも生物の生存に適した環境を維持できるわけではないからです。17億5000万年後には、荒涼とした惑星となり、殆どの生物は死滅するといわれている。多分、現在の火星のような状態になるのでしょう。もしこの時代まで幸いにも人類が生き延びていれば、当然引っ越しを余儀なくされる。しかし残念ながら、ご近所には適した場所がない。ご近所どころか、かなり広範囲な宇宙空間を探っても、今現在、人類の生存が可能と断定できる惑星は、見つかってはいない。

地球型の生命体に水は欠かせない。この水のおかげで実に多種多様な生物が地球には存在する。それらの生物にはそれぞれの寿命がある。この世代時間は、体の大きさと体温という2つの要素によって大まかに決まるそうだ。人間も現在では100歳~120歳を伺おうかという、比較的長寿な生き物となって来た。すごいものだと感心していたら、とてつもない長生きの動物がいた。

ニシオンデンザメという北極を含む北大西洋の高緯度海域に生息する超大型のサメだ(「進化の法則は北極のサメが知っていた」 渡辺祐基 河出新書)。最大で体長は6m、体重は1トンにもなるそうだ。世界で500種以上いるサメ類の中でもとりわけ低温に適応した種。水温ゼロ度前後という極めて冷たい海の中で暮らしている。その寿命は、400年と推定されている。成熟するまで150年を要するという。現在知られている限りでは、最長の寿命を持つ脊椎動物である。最年長のニシオンデンザメは、江戸時代初期の生まれということになる。

人も含めて恒温動物が熱を保持する仕組みとして、対交流熱交換器(counter-current heat exchanger)と呼ばれる特殊な血管の配置が大事な役目を果たしているという。温度の異なる2種類の血管が、逆向きに隣り合っていることにより、熱のやり取りが起こる。このおかげで体の中心部は温度が高いが、体の末端部や表面は冷やされることになる。この仕組みは体温保持にも、また逆に体内温度が上がりすぎた時の冷却という双方の役割を果たす。ニシオンデンザメは、この機能を最大限活用している動物といえそうだ。更にエネルギーロスを極力抑えるために、遊泳速度は時速800メートルの超遅速であるという。

ニシオンデンザメ 画像資料 https://www.dplay.jp/article/0000005593

地球も生物ではないが、常に活発に活動しています。考えてみれば、私たち地球上の生物は、火の玉の上で生活をしてきたのだ。平穏な時ばかりでないことは、至極当然の話だ。特にここ近年の自然現象は年々苛酷さを増している。まさかニシオンデンザメのように、地球活動を緩やかにと望むわけにもいかない。それはそれで、また別の大きな問題を引き起こす。災害に対処するためには、可能な限りの防御対策と非難場所の確保が不可欠です。
フォオレストベンチ工法は、自然が持つ地力の助けを受けるための手段です。しかし少しだけ手を加えます(内部構造の1部を示す写真参照)。それは樹木根が十分に育ち地面に定着するまでの期間、斜面を補強するためのものです。

千葉県を襲った台風15号の教えるもの
フォレストベンチ研究会 個人会員 戸村澄夫

・被害の状況
9月9日月曜日の未明、台風15号が猛威を振るいながら私が住んでいる船橋地域を通過しました。千葉県内では、収穫寸前の梨などの果物や稲等の農作物に甚大な被害を受けました。

そればかりではありません。被害があって10日過ぎてもいまだに電気も電話も通じないところがいたるところに残されています。千葉県と周辺で約3万戸が停電していると昼のニュースで報じていました。道路わきの大木が電柱をなぎ倒し電線や電話線を切断し、道路を通れなくしているところに、チェンソーを持って行って倒木を切断しようにも電線が絡まっているため、即座に除去作業はできません。東京電力に連絡を取って協力をしてもらわないと手を下せません。

家庭生活は、オール電化の時代です。電気が来なければ食事のための煮炊きもできません。電話線が切断されていては、情報の取りようがありません。

私の出身の多古町の島では、停電で冷蔵庫のものは使えなくなり、電話連絡ができず、甥が持っていた携帯電話を使ってかろうじて連絡を取りあっていた次第です。田舎では、井戸水をポンプでくみ上げて飲料水に使っていましたが、電気が来なくて井戸水も使えません。

・船橋の状況
私が住んでいる東葉高速鉄道飯山満(はさま)駅周辺を流れている飯山満川の水位はかなり上昇しましたが、氾濫等の被害はありませんでした。5年前の台風26号で住宅街の道路が浸水した経験から一部堤防をかさ上げしていただいたおかげです。

橋のすぐ下流の土留め用の鉄骨にひっかかっている草(水位はこれ以上)

私の家の近くの農業ハウスの鉄骨が強風にあおられて電線に絡み、コンクリート製の電柱が倒壊・破損するという事故がありました。近くには、船橋整形外科(東京からもよくアスリートたちが治療に通ってきています)という大病院があり、停電のため翌10日の午前中に復旧するまで休診でした。船橋全域では、幸いこのほかの停電はなく私の家も助かりました。

・今後の対策
今回の停電事故の長期化の一原因として道路わきの大木が倒壊して電線を絡んでいたため、除去作業できないという事態がありました。大木も50年もすると幹の中が空洞化して強風により倒れやすくなっている場合があるとのことでした(コンクリートが50年もすると劣化するのと同じです)。地方の山間部に行けばこういう現象は多く見られるところかと思います。

異常気象は、ますます猛威を振るい、襲ってきます。今の社会、電気がなければ、生きていけません。何よりも電力確保を優先すべきかと思います。

今回の経験から、身近のところでできることから始めるべきと思います。

その一つは、道路という公共施設から例えば、10m以内の大木(幹の中が空洞になっている可能性のあるもの)はすべて伐採する等の措置です。

現在建築基準法で耐震基準が設けられていて建物が倒壊して道路をふさがないようにしたり、空き家対策特別措置法で、倒壊の危険性がある空き家は撤去できるという措置と同じです。

もちろん、根本的な対策は、電線の地下埋設化でしょう。さらに、将来的には、電車が停電により運行をストップしないで済むように別の変電所からの配給を受けられるようにしてあると聞いておりますが、家庭への電力配給も複線化が必要でしょう。

これらは、費用と時間がかかるでしょうから、「緊急避難」として大木等の倒壊による停電だけはなくすように今回の経験は教えてくれているものと思われます。

-緊急提言-「切れ目のない引張り構造」で“巨大災害”に備えよう
㈲大島技工 代表取締役 大島利男

台風の季節の最中ですが、先の10号の雨を遥かに上回る前線による “記録的短時間豪雨“が九州北部を襲い、甚大な被害をもたらしました。 片や、南海トラフ地震に伴う犠牲者数は、政府の“中央防災会議”の目標値を大幅に上回っており、百年に一度とは言え、関東大震災並みの激震が起きれば、未曽有の犠牲者が懸念されます。

国土における傾斜地の割合が7割を超える我が国において、上記の記録的短時間豪雨やプレートの衝突で起きる巨大地震に襲われると、地表の崖はことごとく揺れ動き崩れ落ちる危険に見舞われます。 傾斜地が崩れ落ちないよ う に保つには、斜面土砂を不動状態に保つ “引張力”と“透水機能”が不可欠であり、それを適えてきたのが、フォレストベンチ工法です。

しかし近年の線状降水帯や記録的短時間豪雨に対して万全かと言えば、 “土砂透水性の違い” によって、引張力の掛かり具合に違いに差が存在することが分かってきました。

それを克服するために開発されたのが、写真に示す切れ目の無い引張構造です。 発案者の栗原理事の指導によって、試行的に実施した事例ですが、これは「引張リング”」及び「Vボルト」と「箱型座金」から成るもので、これら全ての鋼材が圧縮状態で繋がっていますから、離れることも切れることも無く、 その両端を結び付けるアンカーの役割を果たします。「それを実現するには何と言っても、錆の進行を遅くする延命策を練ることです。

鋼材の材質の違いで、引張強度だけでなく、耐久性にも違いが生まれることになれば、7倍の時間的余裕が生まれます。 100年に1度の災害が、14年に一度という頻度となれば、老朽化の進行も7分の1となり、防災効果は強度の二乗に等しい49分の一に軽減され、巨大災害には効果絶大です。

たこ足状のⅤボルト

「切れ目のない引張構造」中のVボルトの太さや本数を増やす措置を施せば、従来構造との差は、コストの差を遥かに超えて、安全な時間が生み出せます。

私共がこれまで実施してきた維持作業の経験で捉えても、引張り耐力と時間的余裕との積で利点が生まれ、より確実な補修作業が可能になります。 錆が酸素との結びつきで進行することを踏まえると、巨大“引張リング”の使用には、交換用のVボルトと座金を予め先行してセットしておく等、今後の工夫に多くの楽しみが存在します。

鋼材の「引張り強さ」と「耐食性」に関する考察
フォレストベンチ研究会 宮崎支部長 川添祐一郎

台風15号は、“東京湾台風”という異名も付けられて、神奈川県の東岸から千葉県の西岸を総なめにして猛威を振い、その後2週間が過ぎても、電力が通じない住宅17万戸の悲惨な孤立化を発生させ、甚大な損害を残して、太平洋を北海上へ過ぎ去った,

今回の舞台となった房総半島はどちらかと言えば災害的には平穏な地域であり、そこに広がる多数の市町村が、2週間も電力・水・生活物資不足に陥るという、ライフライン孤立地帯と化したのである。その最大の原因を成したのは半島全体を覆っているパワーグリッドと呼ばれる電力網の機能ダウンであり、それを支えている鉄塔の大半は、1970年代に築造されたもので、その主要部が倒壊して電力輸送力が失われたことによる。

我が国の家庭は、既に過度に電力に依存した暮らしの上に成り立っており、インフラや物資輸送を含みライフライン全体が電力不足では成り立たない仕組みになっている。昨年起きた北海道でのブラックアウトも、他山の石とすべきであり、一歩間違えれば、首都東京そのものも埋没させかねない警告を受けた格好である。首都機能を死守すべき人達にとっては、“さぞ肝を冷やし”“をなでおろしたであろう”、同情した次第である。

“百年に一度の巨大地震”にも
“忍び寄るインフラ老朽化にも”備える時代になってきた。

我々の命は、忘れたころにやってくる災害さえ忘れなければ、助かるものでは無く、忘れる間もなく訪れる災害に備えることから、日々救われるものです。インフラの老朽化は、誰にでも平等に訪れる時間という大敵によって、配分されるものです。“インフラ”も“ライフライン”も、生命を支える平等な資本です。従って、役に立つ技術は、社会的市場性で峻別されるだけでなく、公共性が加味された市場性が、優先されるべきと考えます。

老朽化インフラの課題は、道路など交通インフラの主役である「橋梁やトンネル」が中心であるが、今回停電に関係した鉄塔や電柱は、その殆どが早期に市街化が進んだ地域のインフラの老朽化ですから、人々が多く密集して居住する地域ほど重症であり増大する傾向にあるのが特徴である。つまり、先行して市街化“住宅化”の進んだ区域ほど重篤である。災害が起きると決まって“百年に一度の規模として諦めを誘う報道がなされるが、今回の千葉や神奈川をみても、先行して市街化“住宅化”の進んだ区域が、対象になったのではないか。

房総半島の山林の中に倒れた多くの鉄塔や電柱も、下手すると首都東京の繁華街にでも起きうる現象である。鉄塔の多くは、1970年代に建造されたものであり、その老朽化は年々進むから、老朽化を止めるには、その引張り耐力に改善を施すしか方法はない。

当方が開発し、フォレストベンチ研究会の会報で紹介している”切れ目の無い引張り構造“(大島社長記述)によれば、コストを上げる必要もなく、鋼材の品質を更新することが可能です。その年限は、好きなときに取り換えればよく、鉄塔等と同質であるから、扱いも容易である。

台風に対して有力とされる地中化は、電柱の1㎞当りの復旧費が、2~3千万に対して、地中化は同じく4~5億円に上ると、マスコミは報じている。電柱には“スパイダーワイヤー”という景観上の課題もあるが、地中化の20分の1で済む低コストという利点がある。

老朽インフラの最大の課題は財源問題であり、国と地方を合わせた借金が、1千兆円に達し、今後の老朽インフラを如何にして維持改善してゆくか、岐路に立たされている。私は、電柱における“スパイダーワイヤー”の景観上の課題も含めて、技術面から低コストと高い品質向上を実現して、インフラの老朽化に歯止めをかけていくことは可能と考えます。

「この報文をまとめるに当っては、栗原理事の監修を受けておりますことを申し添えます」

現場だより(令和元年9・10月)

◆台風銀座の宮崎で育ったせいか、子供の頃の記憶では、台風は風が怖い、というのが、認識でした。

◆最近は,記録的短時間豪雨など豪雨によるものが気候変動の主流であると受け取っていましたが、今回の台風15号で、やっぱり台風は風だと再認識した次第です。

◆しかし、風力エネルギーは、風速が40m/sから50m/sへランクが上がる見込みであり、1.25倍の3乗で計算すると、以前の1.2倍の強さを覚悟する必要に気づかされました。

◆本会報の報文で、大島社長が紹介されている、「新技術」の引張り構造を適用すれば、「たこ足」のようなVボルトの本数を増やすことや、太くすることによって、対策が容易に実現します。

◆コストへの影響は僅かですので、早速試して戴きたいと願っています。

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