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STEP(第202号)

フォレストベンチ研究会第19回総会を終えて

フォレストベンチ研究会 会長 村沢義久

6月20日、第19回定時総会が開催されました。冒頭、会長である私から、「環境保全:地球温暖化と戦う〜カギは太陽光発電と電気自動車〜」というタイトルで話をしました。太陽光発電や電気自動車もフォレストベンチ(以下FBと記載)同様、環境保全を目指す戦いです。私が所有するフォルクスワーゲン「ビートル」の電気自動車(私が出資している会社で改造したもの)の写真も披露しました。

出所:筆者撮影(筆者所有)

続いて、4つの議案が審議され全て承認されました。第1号議案はH29年度収支報告、第2号議案H30年度事業計画案、第3号議案H30年度予算案、第4号議案役員改選案でした。

 

講話・報告では、まず、当研究会の理事でNPO法人「森は海の恋人」理事長の 畠山重篤氏から「三陸海岸の現状報告」が行われました。今年6月には、第30回目の植樹祭が開催されました。三陸海岸に防潮堤は必要なく、海は森と川に支えられて復活したとのこと。また、のり面の保全にFBの技術を活かし、海を豊かにすることに貢献しています。氏が最近出版した本2冊が紹介され会場でも販売されました。

 

次に、同じく理事で輪王寺住職の日置道隆氏からは「東日本震災後の防潮堤の課題」という講話がありました。「千年希望の皇居の森」記念植樹は、皇居の森から種をいただき植樹したものです。コンクリートの防潮堤の内側に緑の防潮堤ができました。また、輪王寺と仙台市有地の境界にFB施工したところ植生が繁茂し、自然と調和した景観となりました。自然と生命の在り方に関して仏教と生態学に共通の教えがある、とのことです。

 

続いて同じく理事で桂川・相模川流域協議会 代表幹事の河西悦子氏からは、「観光と防災に生きる技術」と題する報告がなされました。岩殿山の崩落現場はコンクリで固めた修復で「情けない状態」になっているため、FBを採用するよう県に働きかけておられます。また、伊豆の下田には防潮堤は似合わないとの話もありました。観光客が来なくなり、さらにアワビや昆布が死にます。防災・環境・健康を融合した観光モデル地域づくりの方が重要です。

 

村井俊治顧問からは、「27年続いているタイにおける植林運動」についてのお話がありました。タイは、木材輸出のために熱帯雨林を乱伐し森林が荒れたため、森林は国土の28%しかありません。1991年に「Re-Green Movement(植林により熱帯林を再生する運動)」を提案し、シリントーン王女に認めていただきました。今年も6月2日に植林を行いましたが、王女との約束なので死ぬまで止められず、今後も続けるとのことです。

 

個人会員で自給シニア会代表の戸村澄夫氏からは「自給シニア会の現状と展望」のお話でした。この会は、昨年承認されたシニアメンバーによる活動の会であり、自給とは自然と共存し一体となることである、とのことです。さっそく2件実績をあげることができました。一つ目は横浜緑区における駐車場裏の工事であり、二つ目はお寺の参道に通じる道です。謝礼は3%いただいているとのことで、1000万円の案件で30万円になります。

 

ユーザー会会員の公文國士氏のお話のタイトルは「斜面緑化は安くて強くて美しい」。東日本大震災で大きな被害を受けた奥さんの実家の修復のためFB工法を選択しました。一方、現在住んでいる高知の自宅では南海トラフ地震への備えが必要になってきた、という話でした。ここで、栗原理事が登場し、三陸などの海岸をコンクリートで覆ってしまうのは良くないので、津波のエネルギーをFBで防ぐ方法を探るというお話がありました。

 

さて、総会では、FB工法の実際の使用例や採用を目指して努力している例が複数報告されました。コンクリートで固めた崖や斜面は醜く危なっかしいものです。私自身、全国様々な場所でそういう箇所に出会う度に写真を撮っています。私が良く通っている上信越自動車道もその一つ。日本中のコンクリート防護壁が全てFBに替わる日までがんばりましょう。

 

フォレストベンチに替えたい コンクリート防護壁 上信越自動車道 写真出所 : 村沢義久

 

人口減・高齢化の加速する地域のスマートビレッジ構想による活性化の可能性

フォレストベンチ研究会 理事 河西悦子

 

 

 

今、日本の小さな市町村はほとんどが過疎化、高齢化、人口減に悩まされています。しかし、地域の条件はそれぞれ異なり、地域なりに頑張っているところもないわけではありません。そういうところはリーダーシップを取る人がいて、打つべき手を打っています。言い換えれば、衰退していっているところは、やるべきこともやっていない。やれるべきことはなんなのか?

 

◆大月市猿橋殿上地区での検討

◎スマートビレッジ構想

 

◎「多世代共創地域社会づくり」へのデザイン

 

◎桂川・相模川流域産・流域消 木質温泉(銭湯)システム

 

◆伊豆下田での検討

◎伊豆を観光と防災のテーマパーク的なエリアとして整備

 

◎斜面を活かし補強したエリア

 

◎地域の自立を目指す

 

◆◆西日本豪雨「平成30年7月豪雨」災害◆◆

今、この猛暑の中、懸命な復旧作業が行われている最中です。このところ、様々な災害が日本を襲っています。その中で、激しい気象変化はもちろんですが、森林と水との関係を厳しく捉えなおさなければならないのでは、と思います。

  • 地域のハザードマップとその限界<岡山県倉敷市のハザードマップと重なる浸水域>
  • 広島の土砂災害の後に作られた砂防ダムへの安心感から逃げ遅れた
  • 広島の府中町 豪雨から数日後の榎川

⇒橋桁に流木や土砂が川の水を堰き止め氾濫

これまでの経験知から学び、一人一人が危機感を持つことができるのか。

フォレストベンチの役割もさらに出てくるのではと思います。

 

RGMで社会貢献者賞を受賞

フォレストベンチ研究会 顧問 村井俊治

 

27年前の1991年からタイで始めた「熱帯林を再生する運動:Re-Green Movement:略称RGM」のボランテイア活動が評価されて社会貢献支援財団から社会貢献者賞を受賞しました。受賞に至るまでの経緯について会員の皆様に紹介します。

 

1990年のタイのカオヤイ国立公園で地球環境問題に関するリモートセンシングの会議にタイの国民から信望の厚いシリントーン王女様がご参加され、私は、タイの熱帯林が大量に伐採され、将来洪水や土壌流出が危惧されることを発表しました。私は王女様の前で将来の自然災害を防ぐには植林を進める以外に解決する方法がないと言いました。そして私も応援するから、王女様が前面に立って植林運動を推進してくださいと頼みました。

 

王女様は意外なお言葉を述べました。「日本はパルプ材や建材などをタイから輸入するためタイの森林を大量に伐採しています。タイ人はタイの森林を破壊しているのは日本人と思っています。その日本人が一方で植林するというと、さらに森林を伐採する言い訳に植林をすると誤解するでしょう。王室にいる専門家は愛国者ですが、この方々とよく話し合って、皆さんが合意するなら私も応援しましょう。」

 

そこで私は1年半かけて王室の森林や土壌の専門家と話し合って、再び樹木を切って消費材とする造林でなく、洪水や土壌流出を防ぐ環境保全林を再生する運動を進めたいと説得しました。植林した森は「王女様の森」としてほんものの熱帯林を再生し、決して再び伐採しないこととしました。

 

このような環境保全林の再生にはその当時横浜国立大学におられた宮脇昭教授が進める「生態学的アプローチの植林」を導入することが最善であることを提案しました。

 

1991年にシリントーン王女様は私が命名した「熱帯林を再生する運動:Re-Green Movement:略称RGM」をプリンセスプロジェクトとして認可してくださいました。第1回RGM植栽は、1991年の雨季はじめの5月末にラチャブリ県スアンプンと言うミャンマーの国境に近い場所で国境警備隊および村人の協力を得ながら、そして宮脇先生と藤原先生の指導の下に行われました。

 

宮脇方式の植林は、昔からその土地に生えていた樹木の種から作られた20種以上の苗木を1平方メートルに3~5本混植して、競争と共存の生態学的原理を持ち込んで成長を促す方法で、約75%の活着率が確認できました。

 

第1回目の植栽には日本人は4、5人しか参加できませんでしたが、第2回目から10人以上が日本からボランテイアとして参加してくれました。今迄で最多数の参加は40人でした。私は一切宣伝せず口コミだけで、本当に植林をしたい心を持った人だけでこの27年RGMを続けてきました。

本年6月2日のRGM開会式に集まった 現地タイの方々(約500名)

 

最初の10年はラチャブリ県で行い、次の10年はラオスの国境に近いナン県でしました。21年目からは北部のチェンマイ県で6年間行いました。2018年は王女様のご希望で西部のミャンマーとの国境に近いターク県で植栽を行いました。この場所は元錫鉱山があって廃坑された後荒廃していた土地でしたが、王女様が何とか緑化をして環境改善をしたいと本腰を入れているところです。今迄第28回目のRGM植栽をしましたが、政情不安の時と昨年担当者が替わってスケジュールが日本人ボランテイアと調整がつかずキャンセルされた2回だけ不参加以外私は26回参加しました。

 

タイは2011年に未曽有の大洪水に見舞われ、バンコクでも被害が深刻でした。洪水の原因は熱帯林の伐採を放置したからだとの批難が国民から沸き上がり、政府も植林に本腰を入れることになりました。タイ王立森林局は我々の進めてきた生態学的アプローチの熱帯林を再生する運動(RGM)に着目して、国土および環境を保全し、自然災害を防止するために正式に「宮脇方式植林」を2014年に採用することになりました。RGM23年目に我々のRGMが政府に認められたことになります。2014年には森林局の副局長が、2015年には局長がRGMの植栽現場に来てくれました。

 

今年のRGMの開会式にはターク県の県知事も参列して挨拶してくれました。プリンセスプロジェクトの責任者および森林局のVIPのほか、17名の日本人グループ、5人のタイ人ボランテイア、国境警備隊、村人、学校生徒ら約500人が1万本の苗木を植樹しました。開会式では上空のドローンが飛ばされビデオ撮影が行われました。私も日本人グループを代表して挨拶をしました。15樹種を5万4千本植樹しました。

 

7月6日に帝国ホテルで公益財団法人社会貢献支援財団の安倍昭恵理事長から社会貢献者賞を受賞しました。私と一緒に日本からボランテイアとして無料奉仕してくださった方々がいてくれたお蔭で受賞できたと感謝しています。タイ大使館のバンサーン大使も参列してくれました。

本年7月6日に受賞した社会貢献者表彰状

 

フォレストベンチ研究会の会員の中に来年以降参加ご希望の方がおられれば歓迎いたしますのでご連絡ください。普通の観光旅行とは異なる貴重な体験とサプライズに恵まれると思います。

 

 

現場だより(平成30年7・8月)

 

◆4年前の広島豪雨災害では74名だった被災死者数が、今回の西日本豪雨被災では2百名を超えて、一挙に3倍に増えました。

 

◆発生前に上空から撮られた線状降水帯の規模からして、途轍もなく巨大であり、これだけの雨量がどの様にして集まるのか、不気味な映像でした。

 

◆4年前、札幌市手稲区で行った実験では、砕石用石材を出来るだけ大きな塊の状態でお借りして土石流を模擬的に作り出し、傾斜43度・高さ30m下の斜面に直立させた鋼製フリーフレームに向けて投げ落として、鋼製フリーフレームが直立を保てるかどうか確認しましたが、結果は辛うじて合格でした。

 

◆豪雨時に人々の足は、最も信頼する家屋へと向かいます。その家屋が土石流で壊されるとすれば、シェルターの役目は果たせません。しかも、被災地にうずたかく積まれた災害ゴミと呼ばれる家屋の瓦礫は、被災者の立場で見るのはやるせなく悲惨です。

 

◆今回の線状降水帯の影響で、広島県で約2万戸、岡山県で約1万戸が壊れたと言いますから、死者数が家屋の数に近づくとしたら、大変なことです。南海トラフの巨大地震に伴う津波による損害は、東日本大震災の数十倍に匹敵すると言われています。

 

◆自然災害による損害は互いに拡大しないよう、地道に取り組み、裏山から受ける土石流の衝撃にも、有効で早めの対策が求められます。4年前に札幌市手稲区で行った実験は、さらに高度で確実な運用へ向けて、図られて行くべきと考えています。

 

 

 

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