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STEP(第196号)

第18回定時総会を終わって
フォレストベンチ研究会 会長 村沢義久

6月21日、フォレストベンチ研究会第18回定時総会が開かれた。前半の議案審議では、28年度収支、29年度予算案などに続き、フォレストベンチ工法の林野庁長官賞受賞及び森林土木の施工マニュアルへの掲載などが報告された。これらの成果によりフォレストベンチ工法普及に弾みがつくことを期待したい。また、入会規則について、従来は全てのケースで理事会の承認が必要であったのに対し、個人会員については、会長または理事の承認により入会可能となるよう会則の改定が提案され承認された。

 

続いて、行われた会員による講話は、全て経験に基づく心のこもった話であり大変参考になった。最初に、畠山重篤理事(森を慕う会代表)から、森、里、川、海は互いに生態系が関連しあっており、山を森林化することで豊かな海の生産力が復活するという話があった。

 

森の防潮堤協会の代表理事でもある日置道隆理事(輪王寺住職)は、人工林に対する自然林の重要さについて話した。輪王寺の参道は昔杉並木だったが、すべて伐採して土地本来の多層群落の樹種を植樹した結果、今では素晴らしい自然林がよみがえっていることや、輪王寺の60度の斜面も最大5段のフォレストベンチを施工し、現在は素晴らしい森に変貌していることなどが報告された。

 

戸村澄夫会員((有)トムラ不動産鑑定)は、フォレストベンチ工法を普及させるために経験と人脈のあるシニア会員が適切な報酬を得ながら広報活動をしてはどうかという提案を行い、参加者から賛同を得た。

 

栗原光二理事からは、伊豆大島東岸の幅25mのフォレストベンチ工事の下請け業者に指導をしながら施工を実施した事例が紹介された。1週間の工期が予定されたが実際には3日で完成したとのこと。

 

村井俊治顧問(地震科学探査機構会長)は、従来の地震学や政府の地震予知とは全く異なる地震予測方法について説明し、これからどこが危ないかについて、科学的根拠を示しながら説明を行った。

 

太田英将会員((有)太田ジオリサーチ代表取締役)は、斜面の敵である水圧について取り上げ、土砂崩壊の8割を占める表層崩壊は、内部の水圧によって起こされることを説明した後、フォレストベンチは水圧を減圧する効果を有しており、土砂崩壊に強い工法であることを理論的かつ分かりやすく説明した。

 

里中新一氏(法人会員中林建設(株)土木部工事課長)からは、九州小倉駅近傍の都島展望公園における仕上げ材に竹を使ったフォレストベンチ工法施工事例が紹介された。また、2012年京都府の石山寺に施工したフォレストベンチは、北側の斜面が一部崩れだしており、応急対策が必要であるとの報告もあった。最後に、村井顧問が総括し総会は閉幕した。

 

さて、九州、愛知など各地で豪雨の被害が出ている。地球温暖化の進展により、「かつて経験したことのない大雨」が日常的に降るようになる。東京から私の住む軽井沢につながる上信越自動車道は、山の中をコンクリートで保護された斜面に囲まれて走っている。景観的にも悪く豪雨に耐えられるのか心配だ。山の多い日本ではフォレストベンチのニーズは無限にあると実感している。

総会会場内の風景:行使の熱弁に聞き入る参加者の皆様。専門的な説明にも、熱心に聴いていただきました。

 

栗原光二工学博士(土木工学)の不屈のフォレストベンチ工法で国土を再生する
評論家・山東大学名誉教授 森田 実

 

「科学の目的は、無限の英知への扉をひらくことではなく、無限の誤謬にひとつの終止符を打ってゆくことだ」

  ブレヒト

 

去る6月27日(火)、埼玉県熊谷市を訪ねました。訪問の主目的は、時事通信社・内外情勢調査会熊谷支部で講演することでした。演題は「どうなる日本の政治」でした。私の率直な考えを述べました。熊谷支部の会員の皆さんが熱心に聴いてくれました上、鋭い質問をして頂き、答えました。大変気持ちのよい会合でした。地方のリーダーは健全な常識と高い道徳心の持ち主です。「地方から日本再建」という主張の正しさを改めて痛感しました。

 

埼玉県熊谷市には、「全天候フォレストベンチ工法」の考案者の栗原光二工学博士(株式会社国土再生研究所代表取締役、フォレストベンチ研究会理事)が住んでいます。講演終了後に栗原光二博士宅を訪問しました。美しい夫人と令嬢が温かく迎えてくれました。

栗原光二博士は宮崎県日南市生まれ、(1947年)。東京大学大学院土木工学科卒業。東京大学大学院終了後、日本道路公団に入社。本社技術部交通鵜技術課長、試験研究所次長、北海道支社副支社長、などを経て退社。2002年に株式会社国土再生研究所を設立し代表取締役に就任しました。

 

「全天候フォレストベンチ工法」による工事は1992年のJR/天王山トンネル西坑口切土/アンカー、12段1440㎡施工以来、今日まで約130カ所の施工実績があります。

この間、多くの賞を受けています。2003年には、グッドデザイン賞金賞を受賞。2010年には「建設技術展2010年近畿」審査員特別賞を受賞しました。私はこの時に「フォレストベンチ工法」に出会い、栗原光二博士と知り合いになりました。同時にフォレストベンチ工法を推進している大阪市のゼネコンの中林建設の中林浩之社長、北側弘二専務執行役員、中村竜幸執行役員土木部長らと知り合い、友人になりました。

 

このほか、数々の賞に輝いています。 私は「フォレストベンチ工法」に興味を持ち、全国各地を訪ね、「フォレストベンチ工法」による工事の実際を見学しました。「フォレストベンチ工法」は、一言でいえば、コンクリートを使用しないで強靭な斜面を造り、森を再生する新しい防護技術です。この技術によって、斜面災害を未然に防止し、根絶し、恒久的に安定化することが可能になります。この技術は、地表の呼吸・循環によって土砂を止めて、豪雨の害を防ぐ技法です。

 

もう少し具体的に説明しますと、この工法は、地山の段切りによる鉛直反力と水平アンカーの引張力による斜面の横滑り防止等により、力学的に非常に安定した構造をもっています。さらに鋼製ネットと有孔排水管の利用で土中の地下水はほとんど排水できます。水圧のかからない土留壁で合理的な仕組みとなっています。景観的には、前面に間伐材を使用して、自然素材の優しさを演出しています。そのうえで、棚田のような段々造成で水平面を得ることができます。そこに植樹することで森を再生することができます。

 

フォレストベンチ工法は、自然と人間が共生するための技術です。最近は、公共事業においてもフォレストベンチ工法が活用されるようになりました。

 

栗原光二博士は強靭な精神の持ち主です。日本の国土をフォレストベンチ工法によって再生したいとの強い意志で、日夜、奮闘しています。栗原光二博士は偉大な土木工学技術者だと私は思っています。

編集部註: この文は、2017年7月3日(火)付の 日刊建設 工業新聞に森田実先生が長年執筆されている 「建設放談」というコラムに第377回目の原稿と して掲載されたものですが、今回森田先生のご了解を得て転載させて頂きました。
「建設放談」は、毎週火曜日に掲載されています。

 

平成29年度フォレストベンチ研究会「第18回総会」に出席して
フォレストベンチ研究会 理事 大月市在住 河西悦子

我が家の前の斜面をフォレストベンチ工法で施工していただいての御縁で、5年前に会員になりました。それ以来、フォレストベンチ研究会の総会には参加してきました。毎回の講話・報告は専門性も高く密度の濃い内容で、非常に勉強になっています。

今年度のフォレストベンチの総会は6月21日(水)都道府県会館4Fで以下の内容で開かれました。

○村沢会長の挨拶

○議案審議

○講話・報告

①畠山重篤様:「森と海を繋ぐフォレストベンチ工法への期待」

②日置道隆様:「防潮堤の進捗と生活者の反応状況」

③戸村澄夫様:「普及の加速はシニア会員の手で」

④栗原光二様:「関東の施工事例の紹介、伊豆大島・指導施工の成果」

⑤村井俊治顧問:「地震予測の現況と課題」

⑥太田英将様:「斜面の大敵は水圧だった」

⑦里中新一様:「関西の施工事例の紹介」

今回、個人的事情で急用ができ、残念ながら開始時間を少し遅れての参加になってしまいました。①の畠山さんと、②の日置さんの半分位お話を聞くことが出来ず残念でした。

 

しかし、今回、顧問の村井先生の全体の講評で、概要が分かりました。簡単な感想程度ですがメモから拾い出してみました。

畠山さんは、「富士山」は鉄の山であり、富士川・安倍川を通して富士山からの恵みを駿河湾に注ぎ、海の豊かさを育んでいるということを話されたということです。私の関わっている桂川・相模川の流域の相模湾にもつながる話です。富士山を中心として、富士山グルリの森から川をとおして海の豊かな自然を育んでいる。山梨の話もされたということで、是非とも聞きたかった内容です。

輪王寺住職で当研究会理事の日置道隆氏

日置さん、防潮堤に5年間で28万本を植樹、故郷の森林を取り戻す。森は絶妙なバランスで成り立っている。森は「諸行無常」命が回る、心が回る。あらゆる災害から私達を守る『防災森林』、目指すのは技術と自然の調和した世界と話され、実際に自分の目で見てみたいと思いました。

戸村さんのお話は、「自給シニア会」発足について、自給とは、水・空気・土壌・自然・森を社会に給付する、シニアとは社会経験が豊かであり、優れた広報、情報を提供していくことが出来、フォレストベンチ工法の社会への普及についての役割が期待されている、と話されました。戸村さんが代表となり、フォレストベンチ研究会の内部機関として位置づけられました。(準備会の詳しい内容は会報195号に掲載)

「自給シニアの会」の発足の宣言スピーチをする代表の戸村澄夫氏 ㈲トムラ不動産鑑定 代表取締役 不動産鑑定士

村井先生の話でインパクトのあった話は、「地震は断層が動いて起きるのではない」「地震の前には沈降する」ということです。東日本大震災の時も男鹿や女川沈降、関東大震災の時も静岡県側が沈降している。防潮堤や土手をめぐらせて水門を作るという発想は地盤が動かないという前提である。⇒沈降すれば門がしまるわけがない。今、伊豆半島の方では津波対策として防潮堤の話が持ち上がり、水門の話なども取りざたされています。伊豆の人達に、栗原さんの「防潮堤に代わるフォレストベンチからの提案」と共に、村井先生の情報も伝えなくてはと思っています。

太田さんの「斜面の大敵は水圧だった」、「斜面を崩すのは地下水圧。今この斜面がどんな状態化ということを評価するのは非常に難しい。維持管理のためには今がどうかということを調べなければならないが、壊れたものを直すにはお金が出るが、壊れていないものを診断するのにはお金が出ない。唯一の実用的予測手法である「土壌雨量指数」、絶対量ではなく、その地域の観測で1位がほとんど崩れている」という話は大変インパクトがありました。山梨県の約7割、我が大月市は87%が森林で閉められている。当然斜面だらけであり、災害時の避難場所も、土砂災害警戒区域にかかっている場所も何カ所かあります。総会後、太田さんに詳しい資料を送って頂きました。「斜面だらけの地域なんだから、どうしようもないですよ」と言っていた地元市役所の担当課、また、県の担当部署にもささやかな声でも、強く挙げていかなくてはと思っています。(会報195号に掲載)

改めて強く思います。総会の時の講和・報告については、きちんと記録し、最低でも音声・出来れば映像で、又は手間がかかりますが資料集としてまとめるとなお良いと思います。後で参考になる情報がいっぱい詰まっていて、フォレストベンチ研究会にとっても貴重な資料となるのではないでしょうか。

竹中とし子参議院議員(個人会員)を 囲んで 左から栗原光二理事、畠山重篤理事、竹中議員 栗原京子会員、伊豆大島からオブザーバー参加 の佐藤勝人町議、筆者の河西悦子理事、そして 手前右から日野市議の峯岸弘行会員、おなじみの ㈲大島技工社長の大島利男会員

 

伊豆大島の不重地区 三原山山腹における今後の土石流を抑止する工事において、当初10日の予定を3日で仕上げた地元「鈴木建設」と、指導に当たった大島技工の合同チームの皆さん

「茨城県 行方市 東野邸の施工例」 伊豆大島の三原山で大災害を起こした台風は 本州に上陸したあと、行方市の民家 東野邸の 斜面を襲い、高さ12mの崖を崩して去った。 特殊な土質によって“ナイアガラ”のような瀑布が出来ており、その下での作業に不安を与えた。

 

現場だより(平成29年7・8月)

 

◆横浜市泉区の山村氏から最初の連絡は、フォレストベンチ研究会に入会して自宅の崖を安全かつ美しく保てるようにしたいというものであった。

 

◆こちらから、連絡するとすぐに問題の崖の写真が送られてきた。まるでボルダリングの壁とでも呼べるような垂直な斜面が街中に聳えていた。ほどなくして施主となるご本人と面談することとなった。

 

◆60年前に切土したまま放置していたら雨に打たれ、知らぬ間にこのような形となったが、周りの環境も変わったので、皆をあっと言わせる美しい斜面に変えたい、という希望だった。

 

◆60年もの間に手を入れる方法もあったのだろうが、中途半端なことはせず、フォレストベンチを知ってそれに限ると決断されたというから、フォレストベンチの申し子とも言うべき方である。

 

◆ご自身は解体業を営んでいるが、いずれは造る方の仕事にも従事したいという希望もお持ちのようだった。

 

◆交通至便地故に見学者が相次いでおり、施工前に比べ、まだ未施工隣接地と比べたとき、フォレストベンチに憧れる人を多く生み出す事例となりそうである。

 

 

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