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STEP(第195号)

斜面を崩すのは山の上から来た水圧だった
個人会員 ㈲太田ジオリサーチ 代表取締役 太田英将

久々に寄稿の機会を得ましたので、フォレストベンチ工法と密接な水圧に関する報告をさせて頂きます。

2003年7月に発生した九州南部豪雨災害の調査に、被災から1週間後に入りました。水俣市の宝川内集地区の大規模な土石流災害がマスコミの注目を集めましたが、私が一番興味を持ったのが、鹿児島県菱刈町の道路横で、山裾にあった数m四方の大きな岩塊が、真横に吹き飛ばされていた光景でした。斜面の上から落ちてきたのではなく、横に移動しているだけなのです。

 

2003年7月 九州南部豪雨災害時に鹿児島県菱刈町で発生した現象。溶結凝灰岩の岩塊(数m規模)が横に吹き飛ばされ、その奥に直径2mの穴が出現した。

 

その奥には、人が入れるくらいの大きな穴が空いていました。もともと岩塊はこの穴の部分とくっついていたようです。穴の奥には小さな穴がたくさん空いていました。その光景を見る限り、吹き飛ばされた大きな岩塊は、この穴から吹き出した水で吹き飛ばされているように見えました。

こういう大きな水圧(過剰間隙水圧)は、山の上からの位置エネルギーが水圧に変わったものです。ところが、当時も今も斜面の安定解析では地下水位を静水圧として作用させるだけです。この矛盾の解明はとてもおもしろいテーマなので、その後時間をかけて取り組んできました。

2003年7月九州南部豪雨災害時に鹿児島県 菱刈町で発生した現象 溶結凝灰岩の岩塊(数m規模)が横に吹き 飛ばされ、その奥に直径2mの穴が出現した

1.安定計算で斜面の安定度を評価する

土質工学の教科書には、斜面の安定度は安定計算で行うことになっています。ところが実際には未固結地盤(表層土砂層)のサンプリングをして力学試験をするのは大変です。まだ崩れていない斜面に対して、その調査費用が出ることはほとんどありません。教科書に載っている方法が実務で使われてこなかったのは、これが最大の原因です。

私は、2003年に土木研究所が発明した土層強度検査棒というツールを用いて、表層土層厚と土質強度を数多く計測し、斜面の安定度評価を解析的に行う方法を考え続けてきました。その結果、崩壊は単に表層土層内に溜まる水の圧力(静水圧)だけでなく、山の上からミズミチに沿って流れてきて、ミズミチが満杯になった瞬間に発生する過剰間隙水圧によって引き起こされることを突き止め、計算方法も作成しました。前述した菱刈町での現象は、当初の直感通り、「山の上から来た水圧」が斜面崩壊の根本原因でした。

飛ばされた岩塊が道路の半分を塞いだ 斜面の上から落ちてきたのではなく、 山裾にあった岩塊が横に移動した

飛ばされた岩塊が道路の半分を塞いだ。

斜面の上から落ちてきたのではなく、山裾にあった岩塊が横に移動した。

 

2.土壌雨量指数の意味するところ

土壌雨量指数は、気象庁が発明した傑作です。単純な3段タンクモデルで土壌雨量を計算するだけの簡単なものです。この方法論の重要な点は、崩壊が起きるかどうかを土壌雨量の「量」で決めるのではなく、「履歴順位」で決めるという点です。その地域の土壌雨量指数履歴順位第1位~第3位の時に崩壊が多発する、という指標です。

したがって、九州や四国といった雨の多い地域と、北海道などの雨の少ない地域では、閾値が大きく異なります。では、その地域が経験した最大級の雨のパターンになると崩壊が発生しやすくなるというのはどういう現象が起きていることを意味するのでしょうか?

雨が降ると、その水は直接流出・蒸発散と地面への浸透の3つに別れます。直接流出は侵食に関係しますが、いわゆる崩壊に関係が深いのは浸透です。地面に浸透した水の多くは、土中に形成されたソイルパイプ(いわゆるミズミチ)を流れて、地面から地表に開放されます。ミズミチは、自然が自ら作った地下水排除工です。その地下水排除工の排水能力は、その地域の最大降雨パターンに対応して形成されています。このような理由から、土壌雨量指数は、その地域の自然の地下水排除能力を表す指標になることができるのです。

東京都で発生したがけ崩れと土壌雨水指数履歴順位との関係。

9割は履歴順位第3位以内の指数値が出現した雨で発生している。

 

3.崩壊を起こさないためには水圧を開放すれば良い

位置エネルギー由来とは、言い換えれば「山の上から来た水圧」のことです。その水圧を上手に開放することができたら、斜面はなかなか崩れません。私は、過剰間隙水圧開放のために排水パイプを配置することにより実現することを提案しています。フォレストベンチ工法は、「ザル構造擁壁」と言われているように地下水圧を開放できる構造を持ってい

ますので、合理的な斜面対策工だと思います。

東京都で発生したがけ崩れと土壌雨量指数 履歴順位との関係 9割は履歴順位第3位以内の指数値が出現 した雨で発生している

斜面に作用する過剰間隙水圧の圧力分布と対策イメージ

過剰間隙水圧は高さに比例するので法尻が最大となる。その途中段階で抵抗力が不足すれば山腹で崩壊する。水圧消散装置を適宜設置し、土が破壊しない水圧にコントロールすれば斜面は崩れにくくなる。(水圧の大きさは同じスケール)

 

フォレストベンチ研究会の中に「自給シニアの会」発足準備会開催のお知らせ
自給シニアの会 代表(仮)個人会員 不動産鑑定士 戸村澄夫

 

去る4月28日(金)に、東京都千代田区猿楽町の「フォレストベンチ研究会」に関係者が集まり、話し合いの上「自給シニアの会」の準備会が開催されました。

先に発足しておりますフォレストベンチ工法を個人的に採用された方々の集まりである「ユーザーの会」と同じくフォレストベンチ工法を広く社会一般に広げて行こうとする会です。

ここで「自給」とは、自然と一体となることを意味します。まさに、フォレストベンチ工法が、従来工法に決別して斜面を森にかえすことであります。シニア会員の方が中心となってこの工法を社会一般に広く知らせて行こう とするものです。

当日の出席者:フォレストベンチ工法研究会 栗原光二理事、同 河西悦子理事(桂川・相模川流域協議会代表幹事)、㈱国土再生研究所の 入井徳明技監、個人会員の公文國士様、㈱大島技工の大島利男社長、㈲トムラ不動産鑑定の戸村澄夫(以上6名)

この他のご関係者にもご案内申し上げましたが、ご都合がつかず上記の出席者となった次第です。

正式の発足は、フォレストベンチ工法研究会の理事会や総会の承認を得た上のことになりますが、理念や趣旨、組織等について当日話し合われた概要について予め本紙をお借りして会員のみな様にお知らせいたします。

 

1.理念と趣旨:社会経験が豊かで長年培った人脈等を活かして「人の役に立つフォレストベンチ工法」を社会に広げることを目指します。

 

最近の気候変動による豪雨や巨大地震による斜面災害は熾烈を極めて被災者は途方に暮れているのが現状です。この方々が、「フォレストベンチ工法」の存在を知って、将来の展望が開けた事例が増えていると聞いております。このような人たちに的確な情報を提供することが急務であり、それができるのが熱意を持ったシニア会員であります。

フォレストベンチ工法は、施工件数は 120事例を越えておりますが、一つとして壊れていない実績を誇っております。「ユーザーの会」の会員のみなさんがこぞって賞賛しておられるように災害を未然に防いで安心して暮らせる国土をつくるためには欠くことのできない優れた工法であります。

 

2.会の名称:「自給シニアの会」と称します。

 

ここで、自給とは、水や大気・土壌といった自然の力を活用して森に帰ると言った自然と一体となることを意味します。

 

3.組織の位置づけ:フォレストベンチ研究会の活動グループ(内部機関)として位置付けます。

 

名称は、自給シニアの会という「会」ではありますが、会長を置いたり 会則を設けたりしますとフォレストベンチ研究会との関係がわかりにくくなりますので、会長をおかずに「代表」として特に会則等は設けずに必要に応じて覚書等で明記することにいたします。

会の代表として、個人会員の戸村澄夫がその任に当たる予定です。

 

4.活動を持続的なものとするための成功報酬制度と活動資金の財源の確保

 

(1)会員が下記世話局の支援を得て、全天候フォ レストベンチ工法採用に結び付けた通常の場合は、成功報酬として工事受注額の3%(請負金額1000万円の場合は30万円)程度を普及活動資金として受け取ることが出来る。

(2)会員が世話局の支援がなく独力で、本工法採用に結び付けた場合には、上記3%のほかに功労賞を上乗せして特別報奨を受け取ることが出来る。

(3)官需の場合等で、官庁へのアプローチが根気よく続けられ、それが決め手となって、急峻な斜面の防災工事等につき地域の景観や防災に大きな貢献をしたと認められる場合には、特別報奨の対象とする。

(4)「自給シニア会」はフォレストベンチ研究会に対して、世話局の人件費、交通費、資料代等に充当するため上記成功報酬の一部(報酬額の5%程度)を献上する。

 

5.入会資格

フォレストベンチ研究会の会員であり、理念にしたがって社会への貢献・努力をいとわない者とする。

 

6.世話局の設置

会員の登録、連絡、調整を主務として、説明のための資料の受け渡し等、会の運営を円滑にはかるため、宮崎支部の西村和子様にお願いする。

 

7.運営方針

活動内容の伝達等は、会報(ステップ)をお借りして会員に伝えることとし、定期的な会合については特に定めない。必要に応じて会合を持ち協議する。

上は、3年前に施工した塩釜市の塩島邸の事例。 隣人の片倉様は事例を見て、自家斜面全てが 加害斜面にならないように5年を掛け、全天候フォレストベンチ工法で強化しようと決意されました。 これにより、塩釜神社の山腹が一挙に フォレストベンチ工法で覆われることになります。

 

 

ゼロ磁場
個人会員 小松かおり

 

新緑の美しい季節になりました。先月芽吹いた若葉は日に日に大きくなり、その色素を濃くしています。爽やかな風と相まってとても清々しいです。今月末の田植えに向けて、稲の苗もすくすくと育っています。

我が家では毎年、ソメイヨシノが満開になると種籾播きの準備を始めます。まず籾を塩水選という方法で選別します。ある濃度の塩水に籾を入れ、浮いたものを除外する方法です。塩水に沈んだ籾が種籾になります。種籾は高温の湯にしばらく浸して消毒し、そのあと芽出しという作業を経て種籾播きとなります。ソメイヨシノが咲き始めると、そわそわします。

前号で、歯科医で勧められて血液検査を受けたことを書きました。結果はいわゆる“鉄欠乏性貧血”の状態だそうです。私の場合は過去に胃潰瘍を患ったことがあることから、ピロリ菌による消化吸収力の低下が原因である可能性が高いとの診断でした。タンパク質も不足しており、それが原因で睡眠中に“食いしばり”をしているそうです。確かに睡眠中に歯ぎしりをしている自覚があります。食いしばりによって歯肉が痩せて下がり、歯槽膿漏を発症するのだそうです。まずはピロリ菌検査をし、駆除をしてくださいとのことでした。ちょうどその頃、書店で『ゼロ磁場の奇跡』という本を見かけ手にしました。すると、血液中の鉄のことが書かれていたのです。血液中の鉄には二価鉄(黒サビ)と三価鉄(赤サビ)の2種類あるとありました。歯科の先生も説明の中で二価鉄、三価鉄という単語を話されていたので、気になってすぐに購入しました。

「その本(『ゼロ磁場の奇跡』西堀貞夫著 幻冬舎)の内容を以下に要約します。

 

宇宙は鉄と磁場に満たされている。その宇宙から誕生した太陽や地球にも磁場がある。地球の奥深い核では、鉄などの金属がドロドロの状態で対流している。我々も体内(血液)に鉄を有する生体磁石であり固有の磁場を持っている。磁場には磁気エネルギーが存在している。磁気エネルギーは「気」とも呼ばれる。生体磁石である我々の体も磁気エネルギーを発している。近年は地磁気が弱まっており、またストレスや薬の多用などで我々の体の磁気エネルギーも弱くなっている。現代の医療は薬に頼りすぎて、自然治癒力を弱めている。山などの自然の中に身を置いたりや神社仏閣に行くとリフレッシュできるのは、こういった場所が磁気エネルギーに満ちている、いわゆるパワースポットであるため。中でも有名なのが長野県にある分杭峠であり、全国からガンや生活習慣病などの患者が押し寄せている。そういった場所は「ゼロ磁場」である。ゼロ磁場とは、N極とS極の磁気が同じ力で拮抗している状態。エネルギーがゼロなのではなく拮抗している状態であり、エネルギーに満ち溢れている。ゼロ磁場は我々の磁気エネルギーを調整し、良い状態を高める。ゼロ磁場に身を置くことにより心身は健康な状態を取り戻せる。

 

本の著者はゼロ磁場を発生させる装置を開発し、不調を抱えた多くの方の回復を助けられているようです。これとは別に、自分自身をゼロ磁場にする方法を紹介している本にも出会いました。ここではその内容は紹介しませんが、その本を読んで感じたことは、様々な本や情報が出回っている呼吸法や言霊や瞑想法や体操などは、自分をゼロ磁場にして磁気エネルギー高めることを目的としているのではないかということです。最近よく聞かれる“マインドフルネス”も同じだと感じています。そして磁気エネルギーの高まりは人間の本来の力を呼び覚まし、叡智に満ちた活動へとつながっていくのではと感じています。

芽出しが終わった状態。小さな白い突起(芽)が出ています。

発芽した稲。針のようにまっすぐです。シートで覆って日に当てていないので白い。

 

現在の稲の様子。すっかり緑色になりました。

 

 

現場だより(平成29年5月)

 

◆5月15日現在施工中の斜面の修復工事は、茨城県行方市(なめかたし)のT氏邸の斜面で、平成13年10月に伊豆大島に未曽有の災害をもたらした豪雨の余波を受けて突然の大崩壊を起こしたものです。

 

◆T氏が公的助成の可能性を探っている間に3年が過ぎましたが、昨年(16年秋)に研究会へ入会の希望を伝えて来られました。

 

◆既に同県取手市で施工されていた東谷寺の事例を見学済で、力学的合理性に納得され、これなら自宅庭に用いて安心だと確信されましたが、更に、昨年千葉県鋸南町保田に事例を見学時に、その場で採用を決断されたのです。

 

◆懸念材料は、3年前の落下土砂による斜面下の隣家台所と風呂場を破壊する事故の発生です。その補償についての合意決着後も両家の間にはまだ少しわだかまりが残っておりました。

 

◆ 同様のケースに遭遇することは多いのですが、斜面が両家の境に存在する為、T氏が工事費用を負担することで隣家の安全も確保し、不満なく、修復工事も円滑に進める案を提示し、無事に着工しました。

 

◆身近な処に施工事例が存在していたことにより、実際に見学されたことが決断に結びつきました。周囲の助言も大切ですが、何よりも自分の目で確かめられた実例の存在が大きいと思いました。

 

 

 

 

 

 

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