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STEP(HTML版)

STEP(第194号)

「フォレストベンチ工法」の伝播はシニア会員の手で
個人会員 (有)戸村不動産鑑定 不動産鑑定士 戸村澄夫

 

栗原理事はじめご関係者のみなさんが精力的に取り組んでおられる伊豆大島での泉津地区の工事の様子等をメールで拝見して深い感銘を覚えております。

この気運の中で、「フォレストベンチ工法」を広く一層知っていただくために多くの人脈を持つシニア会員が中心となって啓蒙活動を担うべきでないかと考えました。具体的には、会員の中から趣旨に賛同する方を募って、身近の親しい方への広報活動をお願いする仕組みを作ることです。現在の所、まだ何もできておりませんが、今回このSTEP3月号に投稿させていただいたのは、会員のみなさんの率直な気持ちをお聞かせ戴いて、会員のお気持ちに沿った仕組みを作り上げたいと思ったからです。

今、私の頭の中にある構想の概要は、次のとおりです。

 

Ⅰ.名称:「自給高齢の会」

自給とは、あるがままの自然界を満たしている水や大気・土壌によって、自らの命と他の命を助けて共存していくということです。そして、これを多くの人脈を持つ高齢者の方がまず身の回りの方に情宣していくということにあります。

 

Ⅱ.行動指針

1.我々フォレスト研究会の「高齢グループ」は、昨近の一億総活躍社会の流れに呼応しフォレストベンチ工法普及をより促進する道を模索した結果、下記のとおりの提案を致したたく思いました。

 

フォレストベンチ工法の行動指針は、われわれの住む地球の自然を「元に近づける努力」によって、「次の世代へ正常な地球を引き継ぐ」ことです。例えば、コンクリートの斜面への使用をせずに斜面安定を恒久化して、地球への負荷の最小化を目指していること、その結果、自然回帰の原点である緑の増進が具体化したこと、更には、棚田状の水平面が防災機能と日々の暮らしを豊かに高度化する、という多くの働きを評価しました。これまでのフォレストベンチ研究会活動の実績から判断してその可能性は十分で、更にその発展の可能性を含めると、他の斜面防護技術の追随を許さぬものと思っております。

 

2.続いて、これまでの実績や実験、記述レポートに従えば「我々が願う地球再生」と「緊急の防災」を実現し、あらゆる伝手を通じて本工法を普及させることが、国民にとって急務であると確信するに至りました。

 

3.最近の気候変動の現状における豪雨や巨大地震による斜面災害は熾烈を極めており、被災した方々の途方に暮れるありさまや困窮度は計り知れません。最近耳にした事例では、フォレストベンチ工法の存在を知ることによって、将来の展望が開けたと感じる被災者が増えていると聞いており、このような人たちに対して的確な情報の提供が急務であると感じております。

 

4.しかし一般的な人々の考えは、従来のコンクリートを用いた「従来工法」が安全だという認識から抜け出せていません。この壁を突き崩すには、時間と情熱・知識が不可欠です。高齢グループが継続的にこの任を担っていくうえで最大の課題は、「経済的な裏付け」です。

 

5.そこで活動を持続的なものとして成果に結びつけるために考えた策は、我々の普及活動がフォレストベンチ工法採用に結びついた場合に、成功報酬として工事受注額の3%(請負工事額1000万円の場合は30万円)程度を、普及活動資金として受け取れないか、ということです(目下栗原理事にご検討をお願いしております)。

 

6.この仕組みが実現すれば、高齢者の方が意欲をもって持続的に取り組んで行き、代々引き継いで永続化させることができるのではないか、と考えます。

 

7.現在働き盛りの方も、何れ高齢者になって行くわけですから、この仕組みが有効に機能するように会員の多くの方が知恵を出し合って作り上げて行きたいと思っております。

(当面の事務局は私、戸村が担当させて戴ければ、幸甚です)

 

伊豆大島で初めての“技術指導”体験記
個人会員 ㈲大島技工 代表取締役 大島利男

 

前々から栗原理事に促されていたフォレストベンチ工法の“技術指導”業務は、この度伊豆大島の現場で実現することとなりましたので、ご報告申し上げます。

これまでにも日野市の現場等では、人手不足を補う際や、施工方法を覚えてほしい人達とチームを組んで共同作業をしたことは有りました。

しかし今回は、海を渡った伊豆大島の地で、現地の㈱鈴木建設の、フォレストベンチ工法に関しては全くの未経験者である初対面の土木技術者(4~5名)の方々が対象でした。栗原理事にとっても、3年も待ち続けた念願の初施工であり、これまでになく用意周到で、苦心と緊張感とが伝わってきました。

それは、今まで無かった「ご挨拶と概要説明」が15分ほど成され、支圧板方式のアンカーが如何に強力であるか、という 説明や、フォレストベンチ工法が土砂だけは止めるが、雨水には自由な通過を妨げないしくみであることを強調する説明から始まったからです。

高さ2mの透水受圧板伝授で親交を深めた8人の有志(後列の左から2番目が筆者)

 

3年前に三原山ごと未曾有の豪雨に襲われて、山腹下に拡がる住宅地が壊滅的被害となった悪夢のような状況から、どうすれば迅速に復興でき、しかも再び同じ被害を受けないで済むかについて、考え抜いてきた理事の執念が伝わるものでした。

 

そして、ついに出番は我々大島技工の3人のメンバーへ廻って来ました。先ず、30㎝角の支圧板の(9㎜厚鉄板)をASボルト(全ねじ)に直交させた7本の支圧板セットを地中に埋設する作業ですが、僅か0.09m2に作用する受働土圧が、面積6m2への主働土圧と引っ張り合いして、受圧板を不動にするという説明に、驚きの声が上がりました。

三原山の山腹に積もるスコリア(火山灰層)は、これからも豪雨のたびに牙を剥く

私共は、広島での大災害の後、札幌市手稲区での実験にも携わっており、支圧板が地球と綱引きをしたとき、30mの高さから80トンの巨石を、百倍近い面積の垂直壁に向けて投げ落としても、垂直の受圧板が直立した状態で倒れないことを目撃しています。 彼らには、後でDVDを見てもらいましたが、軽々と持ち上げられる鉄板にそのような力が備わっているとは、誰も俄かには信じられない様です。

受働土圧が如何に莫大な抵抗力を備えているかを認識するには、直接みるか、映像で見てもらうしかないと、痛感しました。

次にパイプフレームの組み立てに入りますが、今回の設計では、垂直パイプは50㎝を地下に埋める内容になっていました。理事は困ったことだと嘆いていましたが、私共は山芋掘りのスコップで穴掘りする予定でした。ところが、彼らのリーダーは堆積火山灰には礫が混入していないのでユンボバケットの裏側で押し込めば簡単ですよと言い、手慣れた様子で次々と パイプを差し込み、あっという 間に直立部が出来上がりました。しかも自立したパイプは支えが不要で、その後の水平パイプとの連結や金網の貼り付け等が実にスムーズに進み、大いに時間が短縮できたのです。地質の特殊性は、地場の人が良く知っており、理事は暫らくの間、無口になっていました。

被災斜面の最下段に姿を現した”土石流収納スペースにも出来る透水擁壁”

 

暫くして、パイプフレームに金網と透水マットとが張り付けられると、理事お得意の説明が再開され、土砂と混ざった雨水は垂直壁から排出されること、それを有孔管 が真空ポンプのような働きで助ける仕組みであることが説明さ れました。 そこをすり抜けてゆく水圧は、土砂の荷重(土圧)の1.5倍だという内容に、チームリーダーは黙って頷いておられました。

2月15日(水)の午後から始めて翌16日夕には、アンカーとパイプフレームとが ワイヤーで結ばれ、土石の落下衝撃にも土圧にもビクともしない不動の垂直壁が出来上がりました。 総勢8名(写真参照)にとって施工量が7スパンと少なかったことが、ハイスピードの要因だったことは確かですが、鈴木建設の人たちにとって、フォレストベンチ工法との出会いには、鈴木社長の想いが先行していたことを、後で聞いて知りました。

今回の鈴木建設との共同作業を通じて想ったのは、単なる技術指導というより、伊豆大島の未来像を切り開く“種まき”の役目を担ったことである。伊豆大島の人々が、全島を挙げてフォレストベンチ工法の存在を知り、迅速な復興を実現してくれたら、船に揺られて技術伝道に来た甲斐があったと思うのです。

理事との事前の会話で鈴木社長は、フォレストベンチ工法は今後伊豆大島で普及する見込みはあるのかと打診された由である。理事がどれだけ風呂敷を拡げられたか知りませんが、理事自身が伊豆大島に掛ける想いの半分でも述べられたのなら、鈴木社長はすっかりフォレストベンチ工法の信者となり大いにやる気を起こされたに違いありません。

伊豆大島の独立峰である三原山は我が国有数の急峻なカルデラでその山腹に積もるスコリア(火山灰層)の6割は残ったままで、豪雨による危険は未だ去っていない、というのが理事の持論なのです。

三原山の麓で将来とも暮らして行くには、豪雨と噴火災害に耐えられる斜面防護工が必要で、防災機能と生産性を発揮する平地を如何に多く整備するかが、“伊豆大島の将来を左右する鍵だ”と 説得された筈なのです。

私共は僅か4日の滞在から、元の東京都多摩地域へ戻り、工期の迫った現場へ復帰しましたが、ここにも首都直下地震という巨大な災害が待ち受けています。

何処へ行ってもフォレストベンチの使命は絶大であることを痛感した次第です。最後になりますが、今回の仕事が上手く行った背景には、材料の全てが船便という不慣れを克服した背景には、日頃から数多くの資材に携わって戴いている皆様に、大いに感謝すべきであると思っています。

 

イノシシは大地の淀みを教えてくれる
ユーザー会員 群馬県高崎市在住 小松かおり

 

2011年に始めた米作りも今年で7年目になります。肥料は使いませんが、お米は十分に実ってくれています。昨年からは耕作面積も増やしました。それなのに、我が家の娘の好みはご飯よりも麺やパン。そんな娘にお米を食べさせたくて、米粉麺を作りました。インターネットで検索し、材料がとてもシンプルな山形県の業者を見つけ、加工をお願いしました。出来上がった麺は期待以上に美味しく、クセがなく茹で時間も短いという点で使い勝手も良かったので、知り合いの方々にも試食していただきました。自家用に作り始めた品物ですが、商品として販売するに至りました。

 

米で麺を作る、しかもシンプルな材料で、というのはとても難しいのだそうです。3回目に加工をお願いした際に出来上がってきたものは、それまでとは少し様子が違っていました。主人が問い合わせて状況をお伝えして判ったことです。開業した当初は試行錯誤を繰り返していたというお話しでした。先方は、お客様にお話しするような事ではないと恐縮されていたようですが、美味しい米粉麺が食べられるのはそのような苦労をして技術を立ち上げてくれた方がいたおかげだと気づくことができました。「当たり前」と思っていることが実はとても有り難いことであることを、私はつい忘れてしまいます。

 

余りある米で麺を作ろうと思い立って始めた米粉麺作りですが、“グルテンフリー”というニーズがある事にも気づかせていただきました。小麦に含まれるグルテンが体に様々な不調を引き起こすとして、小麦製品を摂取しない食事を心がけている人たちの存在です。小麦アレルギーという形で症状化している方はもちろん、未病ではあるが体をより良い状態にすることを目的として小麦を含まない食材・食事を摂る方が少なからずいるようなのです。そう言った方々からの引き合いも出始めました。日本では余り認知されていないようですが、海外のスポーツ選手や有名人などに支持されているようです。これからどんな出会いがあるのかと期待してしまいます。

稲のはさ掛け。刈り取った稲を2週間ほど天日に干します。

2年ほど前から田んぼの畔をイノシシが掘り返すようになりました。当初はミミズを掘り出して食べるためだと思っていました。しかしその後、主人が矢野智徳さんの「大地の再生講座」に参加し、イノシシは土の中の空気通しをしているのだと知りました。本来は気圧に応じて地面の中の空気と水分は動くのだそうです。それらが滞っている環境は、汚水やガスなどを生じさせてしまうそうです。大地の中に張り巡らされている空気と水が通るように改善すれば、地上の空気と水の動きも再生してくるそうです。矢野さんは長年の活動を通してそのことを理解されたのだそうです。地中は人間の血管と同じともおっしゃっているそうです。血液の滞りが様々な不調を引き起こしているらしいことはよく耳にします。先日たまたま、かかりつけの歯科医に血液検査を勧められて受けたところです。その先生は歯槽膿漏の原因を血液の状態から知ることができると考え、その治療に取り組んでいます。私には見ることのできない血管の中の様子を知る良い機会と思っています。結果については次号でお伝えしたいと思います。

 

フォレストベンチ会員でいらした、埼玉県小川町の藤澤さんの御宅の庭もイノシシに掘り返されました。亡くなった藤澤さんから家を譲渡された方がこの冬に藤澤邸を訪れ、ベンチの数カ所に穴が開けられているのを見つけました。水や空気の流れを封じないフォレストベンチ工法ですが、一体どんな滞りが生じていたのでしょう。その淀みは解消されたのでしょうか。人智を超えた自然界の営みに畏怖の念を感じざるを得ません。人間だけがそこから外れてしまったのでしょうか。

藤沢邸のフォレストベンチ イノシシが欲し返した部分が大きな穴になっています。

 

 

現場だより

 

◆この度、伊豆大島での工事において初めての経験は様々にありましたが、最も戸惑ったことは、資材の搬入でした。人員の搬送はフェリーにて何ら難しいことではありません。

 

◆資材については、経験はないものの、東京都であり頻繁な輸送が行われているので、東京港(正確には辰巳埠頭)へ持ち込めば容易に運んでくれると、甘く見ていたのが裏目に出ました。

 

◆フェリーを利用すれば、車に積める資材は人員と一緒に運んでくれると思っていた処、人員は一緒に乗れないとのこと。しかも、車の搬送についても、どの港に降ろされるかは、その日の天候次第あり、所要日数も定かで無い、とのことです。

 

◆間伐材やパイプ等の重量物は、埼玉の飯能市や宮崎市から運ぶが、船に積み込む時刻には荷主が立ち会う必要があるなど、予想しなかった課題山積で、心細い思いをしました。

 

◆作業前日に我々が乗り組むと、予定の資材も車も到着しており、懸念は杞憂で終わりましたが、次は、帰りの船便でした。低気圧の影響で伊豆大島に向かう船が到着しないと、欠航になるというのです。幸い、1便が時間遅れながら接岸してくれたので、荒波の中、竹芝桟橋に上陸できました。東京は春一番が吹く荒天だったのです。

 

◆陸続きで無いことを甘く見ての試練でしたが、未経験には用心を怠っては成らないと反省したことでありました。

 

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