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STEP(第188号)

測位衛星を用いた新しい地震予測
東京大学名誉教授・㈱地震科学探査機構 顧問
フォレストベンチ研究会 顧問 村井俊治

はじめに

地震予測は世界でまだ誰も解決していない、最も難しい科学技術の一つである。14年前に測位衛星を用いて地震の前に微妙に動く地球を観測することで地震予測が可能と考え、地震の前には必ず前兆現象があることを検証した。ただし異常変動の前兆が現れてから実際の地震が発生するまでの時間は正確には予測できず数か月の誤差がある。2011年3月11日の東日本大震災でも事前に異常変動を把握していたが公表はできなかった。これを後悔して2013年1月17日に(株)地震科学探査機構を設立し、有料で会員向けに「MEGA地震予測」あるいは「nexi地震予測」をネット配信してきた(ホームページ:www.jesea.co.jpを参照)。ほぼ8割の震度5以上の地震について予測は成功している。しかし、4月14日から連続的に大地震が続いた熊本地震は通常の異常変動が現れなかった難しいケースであった。正月号の週刊ポストでは「熊本・鹿児島は異常沈降」のため警戒ゾーンに指定し春ごろまで要注意を呼びかけていた。一方でメルマガの会員サービスでは3月末まで熊本を要注意にしていたが4月から取り下げた失敗を犯した。2週間の誤差であった。熊本地震では地震の後物凄い地殻の変動が見られ、日本列島は新たな歪みを生み出している。

 

  • 地震予測の方法

衛星測位(GNSS)のデータは、国土地理院が全国に1300箇所の電子基準点を設けて、

最短で2日遅れの日平均データ(地球中心座標系のXYZおよび緯度・経度・楕円体高H)を無料で公開している。1週間あるいは1か月の短期的な異常変動を検知して、多数点が一斉異常変動を起こすような前兆が現れると地震に繋がるケースとなる知見を得ている。2年の長期の傾向分析で異常が認められても同様に地震発生の可能性が高い。地球あるいは地殻は刻々と変動し、連続的にGNSSデータを監視しているとほぼ「いつ、どこで、どのくらい」の地震が起きるかを予測できる。一番難しいのが「いつ」を言い当てることである。地震は極めて複雑な事象で様々なタイプがあるので一つのモデルで言い表すことが難しい。震源が浅い、深い、地域性、プレートや構造線との関係などきわめて複雑な要因が含まれるが事前には何も分からずに予測をしなければならない。

データの値に閾値を設け、閾値をオーバーしたからと言って地震発生の可能性を論じるほど地震予測は簡単ではない。場合によっては、プラス方向の動きとマイナス方向の動きの境界のゼロの値の帯がより地震発生の確率は高い。経験に基づく診断が必要になる。医療に検査データだけでなく医者の診断が必要なのと同じである。

 

 

  • 測位衛星データに見る前兆と地震予測
    • 東日本大震災の例

東日本大震災では宮城県の電子基準点データが図1に示すように6か月前、5か月前、2か月前の3回一斉異常変動を示していた。このように多数点が一斉の同じベクトルで変動するときは地震の前兆と捉えてよい。図2に示すように地震の3日前にプレスリップと呼ばれる異常変動が見られたが、これは後追いの検証で分かった事である。この直前のプレスリップがもし捉えられれば地震予測は大きな進歩を遂げる。

図1 宮城県のデータに表れた前兆(一斉異常変動)

図2 大震災3日前から現れたプレスリップの異常変動

  • 熊本地震の例

熊本地震は震源が10㎞と浅かったにもかかわらず、通常現れる短期的な一斉異常変動は見られず、傾向分析による沈降現象が九州全体で顕著だった。経験的には地震に繋がるのは隆起でなく沈降であることから2年前から鹿児島・熊本・宮崎(時に長崎)が異常沈降していて要注意または要注視と発信してきた(図3参照)。2016年1月には熊本県の球磨が異常な沈降を示し、千丁が異常な隆起をしたのが目につく異常であり、この程度なら通常は大きな地震に繋がらないことが多かった。メルマガで2年前から再三注意を呼びかけており、再々延期をしてきたことから、3月までで注意を打ち切ってしまった。ところが2週間後の4月14日に熊本で震度7の大地震が起きた。反省から後追いの検証をすると震源に近い城南で13日から14日にかけて異常隆起していたことが分かった。おそらくこれがプレスリップだったのであろう。このようなプレスリップは2日遅れの国土地理院の日平均データでは検知不可能であり、自前のリアルタイム電子基準点データが必要になる。NTTドコモと協力して地震予測の時間精度を高める努力を展開しているところである。

 

3.今後の地震予測の展望

震度5以上の大きな地震の予測を対象にして3年間にわたって地震予測ビジネスを展開してきた。「MEGA地震予測」は月216円、「nexi地震予測」は月378円の低価格で約5万5千人の会員に予測情報を発信している。まだ地震予測は完璧ではないが、自前のリアルタイム電子基準点を全国的に設置して大地震の直前に現れるプレスリップを検知して、命を救う地震予測情報を発信したいと考える。

フォレストベンチ研究会のメンバーのご支援をお願したい。

編集部註: 村井顧問の地震予測に関する講話は、来る 6月 29日(水)の13:30より開催予定のフォレストベンチ 研究会定時総会において、顧問講話として発表され ます。 また、総会に引き続き開催される懇親会の席上でも 直接お話し出来ますので、是非ともご出席のうえ、 ご歓談下さいますようお願い申し上げます。
総会では、この他、畠山重篤理事による「防潮堤 の進め方」、日置道隆理事による「防潮堤整備の 現状」をはじめ、地震対応型事例報告、フォレスト ベンチ工法の新しい工法に関する発表等も予定 しておりますので、是非、ご出席下さい。

 

 

6年経ちました
ユーザー会員 群馬県高崎市在住 小松かおり

フォレストベンチの理念に強く惹かれ、我が家の周囲の段差にフォレストベンチを施工して6年が経とうとしています。ベンチの上に植えた木々は大きく茂り、自然に生えた木も加わって緑豊かな庭を創り出しています。緑は人間に心の安らぎを与えてくれるものだと改めて感じています。人工的な斜面に緑を創り出してくれるフォレストベンチはやはり素晴らしい工法であると思いました。

平成21年8月着工前

平成21年8月着工前

平成21年12月竣工時

フォレストベンチの外側は、当時初めての試み として竹を用い、光悦寺風の垣を模した外観に 仕上げられた。

平成21年12月竣工時

現在の様子

現在の小松邸の様子

光悦寺垣を模した竹垣は一部が破損してしまいました。竹垣を新しくする時期はとうに過ぎているのですから仕方ありません。近くに竹林を持て余している友人もいることだし、これを機に張り替えを検討することにします。

6年前はサラリーマン家庭でしたが、今年から農家になりました。いわゆる自然栽培と呼ばれる栽培方法で米と雑穀、そして野菜を栽培しています。出荷する量は微々たるものですが、群馬の野菜を都内へ運んで販売している友人や、無農薬野菜の直売所を営む友人にご縁をいただき、販路を得ています。有難いです。

自然栽培とは肥料も農薬も使わない農法です。自然農法とも呼ばれていて、様々な本が出版されています。福岡正信さんや木村秋則さんの名前も知りました。化学肥料や農薬の、土壌や私たちの体への影響についても知りました。私たちは、与えられたものを何も考えずに受け入れて使ってしまっていました。その愚かさに絶望的な気持ちになったこともあります。これらの害については、有吉佐和子さんの『複合汚染』やレイチェル・カーソンさんの『沈黙の春』といった著作で詳しく書かれているようです。

この春、レタスやキャベツを初めて出荷できました。我が家でもたくさん食べました。やわらかくて甘みがあり、実に美味しかった。子どもたちも喜んで食べました。都内へ野菜を運んで販売している友人は、「肥料も農薬も使って構わない。美味しければいい。」と言います。がっかりしましたが、彼は続けて言いました。「食べるとイヤな匂いがする野菜がある。美味しくない。畑に入れているものの匂いなんだと思う。」

先日、パン屋さんで買った惣菜パンの、はみ出した千切りキャベツだけをつまんで食べたところ、とても苦くて驚きました。甘みもキャベツの風味もありませんでした。彼の言った言葉を思い出しました。こういうことか、と思いました。理屈ではなくて、自分の感覚であらゆることを選んで行こうと思いました。美しいと思うもの、美味しいと思うもの、心が安らぐこと。

私たちが本来の感覚を行使すれば、自分の心や体に心地よいことを感知できるのだと思います。それが自然栽培だったり、フォレストベンチだったりするのだと思います。

現場だより

◆ユーザーの会の皆様との交流を深めようと画策しておりましたところ、群馬県高崎市の小松様との久しぶりの連絡が取れました。

 

◆早速、「6年経ちました」という原稿と写真が送られて来ました。竹を光悦垣のようにあしらって完成した当時はギャラリーをうならせたと思っていました。

 

◆しかし、6年を過ぎて現物を見ると、かなり風化が進み、当時の面影は消え失せていました。間伐材の方が風化には強いように感じました。

 

◆竹木いずれが長持ちするかと問われると、木の方に軍配が上がるようです。イタリアのベネチアで用いられた木杭は1200年を経て未だに朽ちておりません。ラグーナという軟弱地盤上で石材建築を沈下から守る為に用いられた木杭が、海水の中で酸素との接触を隔てられ腐食を免れているのです。

 

◆自然の中には、酸素だけでなく、温度、湿度、太陽光、水など様々な風化要素があって、自然材料はその姿を維持するのが大変な状況にあります。

 

◆我々の造築物も時間と共に変わって行くことを覚悟して掛らねばなりません。

 

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