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STEP(HTML版)

STEP(第184号)

地方と中小企業の時代
フォレストベンチ研究会 会長 村沢義久(立命館大学 大学院 客員教授)

2016年はどんな年になるのでしょうか。私のようなエネルギー関係者にとりましては、4月から始まる電力自由化の年です。それから、太陽光発電の分野では、3月末で、グリーン税制が終わります。チャンスとピンチが同時に押し寄せる年になります。

 

私は、東京大学特任教授に就任した2005年以来、地球温暖化対策をライフワークと定め、研究のみならず、実際のビジネスにも参加してきました。村井先輩にもお手伝いいただき、特に、太陽光発電の普及に注力しています。実は、太陽光発電の推進は、日本の産業構造の大転換にも貢献しています。新年を迎え、今日はそのお話をします。

 

太陽光発電は、3・11以降、原発に代わる電源として注目されるようになりました。私は、その年の5月に、神奈川県の「かながわソーラープロジェクト研究会」の会長に就任し、ソフトバンク孫社長のアドバイザーにもなりました。期待の大きな太陽光発電でしたが、大きな問題がありました。設備コストが非常に高かったのです。1kW当たり60万円。4kWの家庭用では240万円もしました。これでは、本格的な普及は無理です。そこで、私は、コスト削減の先頭に立ちました。

 

高コストの原因は、主として日本の産業構造にありました。私は、大学教授になる前は、経営コンサルタント歴25年。日本では様々な分野で、多層構造による非効率が問題になっています。メーカーと消費者の間に、代理店やら問屋やら無駄だらけです。建設・建築の分野はもっとひどいですね。元請け、下請け、2次下請け、3次、4次、etc。

 

私は、日用品雑貨などの分野で流通改革をやった経験があります。無駄を省くためには、末端の下請けではなく、上にいる大手を切るのがポイントです。その経験から、太陽光発電においても、流通改革だけで40%程度は下げられると確信していました。それで、日本の主要メーカに乗り込み、直談判しました。それでもなかなか重い腰を上げません。そこで、荒療治をやりました。

 

太陽光発電に限らず、経済・産業の主役は、メーカーではなくユーザーです。従って、これまでのように、大手メーカーが末端の弱小工事業者を支配する構造を破棄し、逆に、ユーザー直結の末端工事業者がメーカーを手玉に取り、相互に競争させ、価格を下げさせる構造を導入したのです。

 

頑固なメーカーもありましたが、それらは無視し、外国製パネルの導入も進めました。日本製の半額で品質も上々。その結果、1kW当たりの価格は、あっさり40万円を切るところまで下がりました。神奈川県の黒岩知事に約束した通り、40%近い価格低減を数ヶ月で成し遂げ、神奈川県庁では、「村沢マジック」と呼ばれました。

 

この価格破壊は、あっという間に全国に広がりました。今では、家庭用で30万円前後、メガソーラーなら25万円以下。もうすぐ、20万円を切れます。お陰で私自身は、大手メーカーからは恨まれていますが、全国の中小業者とユーザーから感謝されています。

 

20世紀は、政府、中央、大企業の時代でしたが、21世紀は、民間、地方、中小企業(+個人)の時代です。現政権も霞ヶ関も、まだ、20世紀どころか19世紀の体質を引きずっています。不祥事相次ぐ大企業もしかり。世の中を変えるのは、我々です。

 

2016年が皆様にとりまして、実り多き年となりますよう、祈念いたします。

編集部より:昨年12月号の峯岸弘之様の冒頭文中のPlanTの名称が二か所にわたり、「多摩市産業連結支援センター」とありましたが、正しくは「日野市多摩平の森産業連携センター」でした。関係者の皆様にご迷惑をお掛けいたしました。お詫びして訂正いたします。

2016年・年頭の計「強靭化木材・竹を利用したフォレストベンチ」の更なる推進に向けて
個人会員 フォレストセイバー研究所 総代表 林哲久

 

フォレストベンチ研究会の皆さま、本年もよろしくお願い申し上げます。

(新年のご挨拶として、下に添付いたしました年賀状もご覧ください)

昨年は年の瀬も押し迫った12月に、第1回ウッドデザイン賞に入賞という朗報を得て、とても良い締めくくりとなりました。

受賞に至った経緯は先月号の会報でご紹介いたしましたが、受賞会にはフォレストベンチ関係の方々も多数お祝いに駆けつけてくださいました。表彰式に先立って撮影した記念写真のメンバーの他に、愛知の筒井信之さんも参加して戴いたことを遅ればせながら、ここでご報告いたします。

 

受賞にあたっては幾つもの反応が寄せられました。特に、環境系の方やバイオマス系及び林業関係(民間および自治体)からは賛辞を賜り、フォレストベンチの認知度が高まったと今更ながらに嬉しく思いました。一方で、有言実行を果たさねばならないという責任の重さを感じています。表題にも掲げていますが、「強靭化木材・竹を利用したフォレストベンチの推進」です。このために、以下の2つのプランを実施いたします。

 

1.来る3月9日から12日に東京ビッグサイトで開催される展示会に出展します。

含侵メーカーさんとの共同出展ですが、当方はウッドデザイン受賞をテーマにし、主に『高機能化の竹』を中心にして展示説明を行います。高機能木材については含侵メーカーが行います。

 

2.含侵を施した竹の機能性を検証するための実地テストを敢行します。

千葉県君津市の「ベルリンの森」の里山で高機能竹を柵状態として、「底部位」を土に触れさせた形式で機能性を検証します。『当地には崩れそうな斜面は無い!』という地主さんに対して『里山の景観性を向上させ、しかも敷地内の竹林を整備しながらそこにある竹を有効活用しましょう』と説得して了解を得ました。『景観性向上』と『地元民自身が事に当たる』・・・がキーワードです。

 

また、以下に記述した事柄はウッドデザイン賞応募の概要ですが、地主さんにもお話しした内容です。

①斜面が崩壊し麓の人家に災害が及んで財産や人命に損失を与える、という危険を未然に防ぐための防災土木工事を、従来型のコンクリート工法に替えて、『重々しくなく、人の目に優しく映り、緑化も加味した環境性重視型』で施工します。勿論、工法開発者の栗原理事の力学的な監修を要しますが、それが全天候フォレストベンチ工法です・・・と説明しました。

②フォレストベンチの垂直面すなわち壁の装飾目的として「竹」を採用し、矢羽デザインを凝らして配置したプランは各方面で好評を得たことも紹介しました。

③地域の「超」厄介者とされていた『竹』が防災機能の一端を担い、そして『ビジネスになった事』、更には、竹の伐採から搬出、加工、集荷に至るまでの一連の作業を地域住民の手で行ったこと、これは地域資源の有効利用でありかつ地域の雇用機会の創出でもあります。国家的問題ともいわれる竹害(竹林荒廃)、その対策の一案とも見做されるほどの評価を受けていることもアピールしました。

④昨年、日野緑地のフォレストベンチで初めて間伐材の代用として竹が使用されましたが、それに於いては課題も存在することを正直に記述し、その課題の解決策も手中に収めつつあることにも触れました。それは『竹の使用寿命を延ばすこと』です。そのためには、竹を自然乾燥させる等の従来の手法に頼るのではなく、人工乾燥と薬剤を含侵させる工業的手法を採用することです。(この方法については現在、テスト段階ではあります)また、強靭化した竹に合わせて、安定に必要な引張力の確保にも更に工夫を凝らしたいと考えております。

 

今の里山は斜面だらけです。小さな崖が多数存在します。切り通し通路の両脇は土がむき出しで、木や竹の根もむき出し状態です。その斜面を、景観を重視する竹の装飾を施した「全天候フォレストベンチ」で覆い、いつか美しい里山をよみがえらせることを年頭の課題といたしたく、今年もフォレストベンチの更なる普及に尽力いたします。

 

被災地大島の復興への願いを込めて
㈱コンシャス 伊藤元美

 

日本のみならず世界中で土砂災害や水害が頻繁に発生し、日常的にニュースが流れてくるようになりました。今も世界のどこかで災害の被害に遭い、助けを求めている人たちがいます。

 

伊豆大島においては2013年の土砂災害から、はや2年以上の歳月が過ぎました。

台風時期は過ぎたかと思われていた10月16日の午前2時ごろ、台風26号による豪雨で、伊豆大島は元町地区を中心とした大規模な土砂災害が発生し、巻き込まれた住民36人が犠牲となり、いまだに3人の行方が分かっていません。

現在も被災現場では復旧工事が進められており、大島町は去年9月、メモリアル公園の建設や、生活道路ネットワークの整備などを行う復興計画を策定しました。一方、未だに24世帯、43人が仮設住宅に身を寄せているのが現状です。

2.1.1 土砂災害前後の空中写真 (大島町元町地区付近) 左:土砂災害発生前。「H.24.4 国土地理院提供 右:土砂災害発生後。」H25.10.17 東京都撮影

伊豆大島ではさまざまな災害への対策が行われていますが、その多くはコンクリートを中心とした景観には配慮されないもので、無機質な素材を使用したものが多く見受けられます。

栗原理事は被災直後に関係者を訪ねて現場に向かわれ、フォレストベンチ工法が大島の復興にとって唯一無二の方策であることを即断し、復興の有り方に熱意を込めて取り組み、関係者に訴えられてきました。

 

そして、栗原理事の大島に対する想いや、現在なお、手つかずの状態で放置されている灰黒色の火山灰に覆われた大金沢の斜面の写真を見るたびに、素人の私にも何か出来ることがないかという想いに、ずっと駆られておりました。

そんな折、フォレストベンチが大島の防災工事に採用される方向で話が進んでいるという素晴らしいニュースを聞くと同時に、フォレストベンチで斜面を再生したイメージを、イラストで描いてみたらどうか、というお話を栗原理事から戴きました。

 

無残にも道路が切断されていた灰黒色の斜面をフォレストベンチ工法によって規則的に段切りすると、間伐材と透水擁壁で整備された斜面に新しい土地が誕生します。

さらにその平地には伊豆大島特産の椿が植えられて、いずれ斜面は緑に覆われ季節ごとに美しい花を咲かせます。

なだらかな斜面の向こうには穏やかな青い海も広がっています。蘇った斜面の近くには新しい住宅も建設されますが、フォレストベンチが災害から守ってくれますので、大島の人々は美しい自然に囲まれながら安心して暮らせるというストーリーです。

私の描いたイラストが大島で暮らす人々に防災への安心を与え、そしてこのように多くの平地が生まれることで、観光に訪れる人達に新しい楽しみを提供できればと願います。

伊豆大島 被災後の写真

今、世界は気候変動のさなかにあり、日常的な災害に対し備えていかなければならない状況にあります。

栗原理事のお話によると、かつて人類が興した文明の地の殆どが自然を失い廃墟と化していますが、その長い歴史の中で1万年も続いた日本の縄文文化が、持続可能な社会の見本として評価されているそうです。

最近、ロンドンのオークションで、縄文土偶が1億9千万円という高値を付けたと報道されました。栗原理事は、それについて「持続可能な社会を求める社会現象ではないか」と述べられており、「持続可能な社会」について以下の通り説明されています。

『農耕文明であるエジプト文明は数千年で終わりましたが、自然との共生を守り続けた縄文文化が弥生時代までの1万年余り続いたことは、自然との共生がいかに人類を魅了したかを物語っています。自然との共生は突き詰めれば、自然からの恵みと人間がそこから得るべき量がどれほどかを知ることです。全天候フォレストベンチ工法の段々の水平面は表土を肥沃にするので、森は肥沃な土壌の下で水と光と大気を得て、さらに時間という要素が加わり、数世紀生き延びることができます。持続可能な社会とは、人間の数世代を指すのでなく、過去に人類が経験してきた多くの文明を凌いで長続きすべきものです』

 

今の文明は西暦起源から数えてもまだ2千年余りですが、既に気候変動によって窮地に立たされています。その逆境を乗り越え、後世に向けてフォレストベンチ工法でユートピアを築き、人々に大きな夢を与えるべきです。

伊豆大島がイラストのように再生し、大災害からの復興をアピールするモデルとなって世に知れ渡ることを願ってやみません。

 

現場だより

 

読者の皆様、新年あけましておめでとうございます。今年も現場だよりよろしくお願いします。昨年の年末号では、福井県池田町の斜面崩壊現場のご報告が途中になっておりましたので、その続きからご報告したいと存じます。

・池田町も過疎に悩む地方の一つであり、町興しの目玉として“ツリーピクニック”という若者向けの新しいレジャー導入に取り組んでおらます。

・索道にぶら下がりながら、ターザンのように空中散歩しながら、自然と池田町の街並みと共にスリルとを楽しんで貰おうという、レジャーです。

・そのスタート台のタワーや宿泊施設・食堂などは既に整備されていて、今年のゴールデンウイークに開園する予定で、後はそこへ辿り着く道路の完成が待たれていたのです。

・しかし、昨年8月に出来たばっかりのその道路は、12月6日に突然大きく崩れてしまいました。最近の気象災害による斜面災害かと思いきや、豪雨が原因では無いとのこと。

・地質データと設計図を見せて戴くと、礫層の下部を三分勾配で切土した為に、のり面が安定を保てずに崩壊した、という結果でした。写真を見ると地下に埋もれていた礫岩が“積み木崩し”のように崩壊しています。

・当地は例年2月に2mの積雪があると言いますので、その雪解け水が斜面を滑りやすくする可能性があります。従って、雪解け後の様子を見ないと、施工中の斜面の安定に疑問が残ります。

・当方へのご相談があったのは、崩れた斜面にも緑を再生できる工法としては、フォレストベンチ工法という紹介を、畠山理事の講演で聞いたから、という経過がありました。その期待には是非とも応えたいのですが、先ずは自然の摂理に従って安全を確かめることが先決です。

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