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STEP(HTML版)

STEP(第180号)

台風18号による大雨被害から河川の災害対策について考える
個人会員 (有)コンシャス 代表取締役 伊藤弘志

元来、人々は水を必要とするため、太古の昔から河川流域の平地や、湖、池、地下水など水資源のある所に住んでいました。世界文明も水と共に発展しました。

我が国の河川流域に住む流域人口は、平成7年国勢調査(総理府統計)より流域内のメッシュ人口を集計すると約425万人です。それは、全国総人口の約3.4%の人口が日本の総面積の約0.33%の地域に住んでいることになります。

先日の台風18号に伴う記録的豪雨により栃木県、茨城県、宮城県を中心に浸水被害や土砂崩れなどの被害が生じました。
栃木県の各所で24時間400ミリ以上を観測し、まさしく今まで経験したことの無いすさまじい大雨となり鬼怒川流域では広範囲の河川堤防決壊が起こり、多くの犠牲者が出ました。


鬼怒川流域は前年に、ソーラーパネル設置工事で高さ2m、長さ150mが削られ、堤防のない状態になっていたのも被害が拡大した要因となったようです。

テレビで堤防決壊の様子を見ましたが、次々と土で盛られた堤防が水の力で押し流されていきました。アスファルト舗装の隙間から水が噴出している状況も、報道されていました。この地域は元々国土交通省がハザードマップを作成し、災害のシミュレーションが行われていた地域ですが、この様な水災害危険河川に指定されている箇所は、日本に2000位あるとされています。東日本大震災を教訓に、大津波に強い堤防を作るとして、国土交通省が整備に乗り出した「緑の防潮堤」(2014年3月7日制定)の設置については、今なお試行錯誤が続いています。


フォレストベンチ工法を考案された栗原理事は、大津波対策の方法として環境、景観に配慮した独自の『緑の防潮堤』をすでに考案し、提唱されています。(図-1,2参照)東日本大震災ではコンクリート防潮堤も堤防も効果を発揮せず決壊してしまいましたが、コンクリートに欠けていたのは『しなやかさ』です。コンクリートのような重量物はその重さと遮水性によって、無用な地震力や水圧を受けてしまいます。

現在の河川の堤防は盛土により築造することを原則とされていますが、これは近くに存在する自然材料で低コストを実現する為ですが、同時に土砂のしなやかさや恒久性を活かすのが理由のようです。しかし土砂粒子は結びつきが弱く、長時間の浸透水により強度低下が起こること、流水により洗掘されやすいこと、越流に弱いこと等のデメリットも共存しています。その結果盛土の堤防は場所によっては強度が不足しており、今回の台風のような長期間の大雨による急な河川の増水には耐えられなくなって破堤に至ったのです。(国土交通省のHPなどにも記載されています。)

それを防ぐには図に示すように、土砂を引張り力の中へ閉じ込め、土砂粒子を圧縮状態に保つのが、上策です。すなわち土のうの仕組みを活用して土砂に圧縮強さを発揮させる上で最善です。

http://www.ktr.mlit.go.jp/arage/arage00103.html

(荒川河川の堤防について記載)

今回の様な災害に対応した強い堤防は、引張り力と透水性に優れる構造だ、と提唱されているのです。これまでのように河川水は全てシャットアウトするものだとしてきた常識を変えて、高水位に達したら堤防土砂の隙間から漏水しても良いという考え方です。漏水しても破堤しない堤防とは嵩上げ部に引張力を導入し漏水も辞さない新しい構造です。(下図参照)
川底に堆積した土砂を浚渫して流水面積を増やすとともに、その土砂をタイロッドアンカーで引張り合うパイプフレームの内部に盛土して、例えば3mの堤防嵩上げを実施すれば、河川水を堤防内に止めることが出来るという新しい堤防構造です。水の力は水平方向に働くので、水平引張り力に担わせれば最も経済的かつ効率的に安全が確保できるという考え方です。

台風等による河川の氾濫は今後も続くことが予想され、いつどこで起こってもおかしくない状況ですが、自治体予算は限られているのが現状です。それゆえに、低予算で環境、景観に配慮し、スピーディーな施工が可能なフォレストベンチ工法の考え方に基づいた河川の堤防強化法活用することが望ましいと考えます。

※上の図に示すように、タイロッド等で結ばれた透水性受圧板が主働土圧で直立を保つように向い合い、連続的に壁を成して土砂を囲って「袋詰め状態」とすれば、全ての透水性受圧板は互いに受働土圧で支えられ不動となり、土砂はその空間に閉じ込められます。しかもそれは、十分な排水機能によって不飽和状態が保たれるので、豪雨時にも晴れと同等の安定が得られます。

 

フォレストベンチ工法の鋼材と優位性
法人会員 岡部㈱ 土木事業部 羽根石翔太

 

8月25日、フォレストベンチ工法の現場見学のため、日野市を訪れた。図面・写真では拝見していたが、実物を目にするのは初めてであった。現場に着いてみると緑生い茂る景観が印象的で、4、5ヶ月前に竣工したばかりとは思えませんでした。

フォレストベンチ工法とは、斜面を階段状に造り変えて森を再生する技術である。階段の垂直部は、鋼材の引張り力によって保持されており、この“鋼材”を提供しているのが、弊社である。施工が終わってしまうと目にすることはないが、とても重要な役割を果たしている部材である。実際に訪れた日野現場でも見ることはできないが、緑あふれる景観を考えると寧ろ見えないほうがいいのかもしれない。

また、景観という点で言えば、日野現場では間伐材だけではなく竹でも受圧板装飾が行われており、景観への配慮がされている。竹は矢羽状に編まれており、とても美しい風景を作り出し、周りの風景に溶け込んでいる。こうした住宅街の斜面補強には周りの景観との調和が大切であると改めて感じました。

また、フォレストベンチ工法は環境調和性だけではなく、確かな防災性も兼ね備えている。2011年3月11日に起きた東日本大震災において、15mに達する大津波がフォレストベンチを駆け昇り、強烈な引き波を起こしたが、フォレストベンチの通水性と引張り力が勝り、崩壊を免れたのだ。この未曾有の地震によって、フォレストベンチ工法の実力が実証されたのである。

 

東日本大震災の津波で多くのコンクリート構造物が壊されたが、今なお斜面補強工にコンクリートを用いるケースが続いている。コンクリートと鋼材を比較してみるとコンクリートは重量物であり、圧縮力に対してだけ力を発揮するが、地震に弱いという重大な欠陥がある。それに対して鋼材には軽量であるとともに強靭さ、粘り強さが備わっており、重さと強靭さとがバランスして外力に耐える特性がある。フォレストベンチ工法が巨大津波に耐えることができたのも、鋼材の引張り力が働いたからだと考える。巨大地震にも大津波にも耐えたということは、度々津波の被害を受けてきた三陸地方において、階段状の斜面を設けて待ち構えていたら、津波は何事もせずに海へ戻っていた、ということを証明したことになる。仮に、コンクリートを用いていたら、斜面土砂は守ることが出来なかっただろう。飽くまで防災の主体は自然の中に潜んでおり、それを生かすか殺すかは、人間次第である。折角の通水性をコンクリートで殺してしまえば、津波の巨大な力が大暴れして、命が奪われる。自然の自由な循環に逆らわない知恵の方が如何に大切であるか、思い知ったことである。

 

ここまでフォレストベンチ工法と鋼材の優位性について述べましたが、これからは斜面補強工も環境に配慮したものでなければならないと思う。それらを踏まえると、鋼材の特性を活かしつつ環境調和にも長けたフォレストベンチ工法が、この先、人と自然との共存を手助けしてくれる何よりの斜面補強工なのかもしれない。まだまだ施工実績は少ないが、この工法がより多くの人達に知られ役に立って欲しいと願う。そして、そんな未来指向の工法に、弊社の鋼材が主要資材として使われているということに誇りを持ちたい、と思った次第です。

 

森林整備から始める『フォレストベンチ村』の構想
個人会員 フォレストセイバー研究所 総代表 林哲久

 

路網作りにトライして貰いましたが、失敗かも知れない・・・と、山主は呟き(つぶやき)ました。

呟きの主は当山林の持ち主で、幼少の頃から山に親しみ、自分の(親譲りの)山を隅々まで把握しており、著名なキャンプ場も経営している一方では現行の経営事業を優先するために山の手入れなどは後回し気味となっていると語る(嘆く?!) 実業家の方です。

自然観察ルート及び場内遊歩道の整備を計画する中で『崩壊の危険を孕む斜面』が気になり、その防災工事としてのフォレストベンチに興味を示しておられるとの事で私は昨年に当地を見聞・視察しました。検分に先立つ形で当地の行政センターに於いてフォレストベンチを紹介する機会も設定して頂きました。

 

当地は、世界遺産の富士山に通じる街道筋に存在します。『日本一のキャンプ場銀座』として名高く、また≪日本一の水源の郷を目指す≫と言う当村のキャッチフレーズは相当以前から聞き及んでいました。筆者が住む横浜市と当地とは≪水≫のキーワードで繋がっています。その昔は当地から引いた水が横浜市住民の飲料水で有り続けました。ここの水は赤道を越えてさえも味わいが変わらない(腐らない?!)と、船舶関係者では神話化されたほどに有名です。横浜市の水源林という位置づけで村内に存在する多数の行政保有の森の整備は行き届いて居るようですが、私有林は自己責任で整備をすることとなっており、冒頭の山主『談』と同様、山主各氏の諸事情により森林整備が進んでいない実態がある様です

 

降雨をゆっくりと川に流すことで洪水被害を抑える事が出来ます。それは、森林の多面的機能における大きな役割の一つです。また、森林資源の活用もその一つであり、森林バイオマスの有効利用に拠るエネルギー事情好転は、経済面での有益をもたらすと同時に産業面・社会面でも効果的であると確信します。森林山村の多面的機能発揮対策事業(林野庁)が注目され、人々(国民)の目が最近は森林に向かいつつあります。当地に於いては林業体験(間伐)はじめフォレストセイバー(=森を味わう、森に親しむ)イベントも頻繁に開催されています。一般市民が森に出掛けて山村住民はじめ林業関係者との交流を通して森林の有益性を認識し、かつフォレストセイバー性が深化する事を期待します。(森林資源消費者と直接触れ合う機会は彼らにも有益ですし、何より≪森林環境税≫への理解が深まります・・・)

 

一方、森林整備作業で山に入る場合や材木及び森林資源を持ちだす為には車が通行するための作業道や路網を設けることになります。山を削って道路を通すのですが、この時の処置を旨くやれなかった時には山に降る雨の流れの不具合に拠って道路が痛み結果、森林内外の土壌・土砂がその下部域に流れ出す事も起ります。(当地の)斜面崩壊予防として施工を考える今般のフォレストベンチ計画地に於いても≪崩壊路網箇所≫があるならば、事は重大で、その場所もフォレストベンチ技術で対応・対策(補修含む)した方が良いと考えます。処置すべき場所の箇所数と規模を確認するために更なる調査が必要でしょう。調査実行に於いてはフォレストベンチ関係者と現地のスタッフとでチームを編成する事を望みます。

当山村は間もなく冬季となりますので、実際工事は来春以降に持ち越すことになるでしょうが、フォレストベンチ混成チームの行動(=調査)は秋口にはスタートしたいです。

森林整備の重要性及び作業道・路網整備の需要とその実行の必要性は国内各地で共通する大きなテーマでもありますので、≪総合的森林整備を果たす為の『フォレストベンチ技術で展開する事例事業』をアピール≫して行くならば、つまり、フォレストベンチ技術の啓蒙から始める当地のスタッフを交えたチームプロジェクトの結成と整備企画の樹立及び実行の行為そのものはモデルケースとして全国に響くものになる筈です。

山の森林整備・道(みち)整備は『点』としての施工案件ですが、先述のごとく、当地は『富士山詣で(もうで)』の街道です。街道筋には数えきれないほどのコンクリート斜面が存在します。斜面は時に石積み、時にフリーフレーム等など、それぞれに時を刻み、風景に溶け込んでいる物もありますが、コンクリート吹きつけ工法だけは『戴けない!!』・・・汚いです。『線』としての街道筋もフォレストベンチ技術を施して先刻の『点』をも加える形で地域丸ごと『面』としてのフォレストベンチ施工が実施された暁には『フォレストベンチ集落』というブランドを有するに至ると確信し、是非このビジネスチャンスをゲット(完遂)したいと思うのです。

その為に『検討チームの結成』は重要です。『チーム編成に向けた検討と企画プラン練りの実務構築の開始』を強く提案します。

 

冒頭の話しに戻ります。(つい最近に当地を検分したのですが)今回新たに開設したという山道が『沢状』になっていました。『源流(?!)確認』は行ってませんが、山主の推測は当たっていると思われます。(今般の作業は失敗かも知れない・・・・の言葉)

水こそ見当たりませんでしたが、雨水が流れた『痕跡』がくっきりと見看れました。森林問題は多岐に渡ります。森林整備は事程左様に頗る重大です。森林バイオマス資源の利用に限らず引いては洪水災害防止というテーマにも繋がる訳で、本件事例は『氷山の一角』かも知れず実は全国規模での課題である、と見なすならばそれこそ当方にとっては大きなビジネスチャンスになり得ると思う次第です。(サクセスストーリーを描くチャンスです。)

街道筋のとある斜面にフォレストベンチ施工を構想したCG画像です

 

現場だより

 

〇 台風18号の爪痕はあまりにも悲惨で、国で進める国土強靭化計画は気候変動に全く歯が立たない印象を受けます。

 

〇 長い歴史と多額の費用を投じて築かれた河川堤防が14箇所で決壊するという

事態を見せられて、大きな改革と反省が求められていると痛感した次第です。

 

〇防潮堤をいかに再建するかという課題に接した時、破堤しなければ多くの命や財産が救えると考えてコンクリートでなく瓦礫または砂利等を用いて通水性のある構造が強靭であると提案したが、今回の河川堤防においても引張力を導入した通水性の堤防が効果的であると国交省へ提案してみました。

 

〇漏水することを許容することによって、破堤が免れることが減災の原点ではないか、と主張していますが、河川外へ水を漏らすべきでないという、固定観念を改めることは、難しいのでしょう。修復工事を見ると、矢板(鋼製)を打ち込む応急措置が取られていますが、この高価な工事は力学的無駄が多く、長続きしないと思われます。

 

〇水平力に引張力で応じるのが最も経済的であると確信しています。

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