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STEP(HTML版)

STEP(第174号)

多様性と持続可能な社会
理事 宮城県仙台市 輪王寺住職 日置道隆

 

3月13日、天皇皇后両陛下が岩沼市をご訪問、震災 犠牲者155人の名前が刻まれた慰霊碑に、冷たい雨が 降りしきる中、傘も差さずに進前し、白菊の花を供えら れた。 私も参列しましたが、ご遺族の心中を察するに 胸が詰まる思いであった。 「千年希望の丘」もご視察 なさり、園路を廻られ岩沼市長にいろいろとご質問された。 私自身この造成に携わっており、誇らしい気分であった。 両陛下は国連防災世界会議の開会式ご出席のために 仙台をご訪問なされ、世界平和に導く防災に向けて 並々ならぬ強いご意志を世界に示された。

ここで防災のあり方を持続可能という側面から考察 してみる。今現在被災地沿岸部には巨大コンクリート 防潮堤(仙台平野についてはほぼ完成)がいつの間 にか一律に造られようとしている。コンクリートの原材料は 石灰岩で、大昔の貝類やサンゴ、石灰藻などの生物 の殻が堆積してできたものである。つまり、”死んだ材料” と言い換えることができる。この死んだ材料で画一的 に造られたコンクリート防潮堤の耐用年数はどう長く 見積もっても100年は無理であろう。しかもその間補修 工事などの莫大な維持費がかかり、その費用は自治体 負担である。この巨大構造物は本来の地勢を激変さ せ、森里海の生命の連携をもストップし、そこは生命 不在の不毛の地となってしまう。そして、これを基底とした豊かな日本の伝統文化を破滅に導くことは疑いの 余地がない。本当に必要な地域に造るべきとは思うの であるが……。 「いのちを守る森の防潮堤」は、沿岸部に被災瓦礫 を活かしながら盛土を施し、そこに土地本来の高い木 から低い木まで多様な樹種を選択して市民の手で幼苗を 植樹する。そして、年を経て木々の生長とともに地下 ではしっかりと根が網羅され地上部を支えながら私たちの 生命と財産と心を守る構想である。 木々が主役になり、 ”生きた材料”で造られた防潮堤と言うことができる。 植えてから20年もすれば防潮堤自体がひとつの自然に 近い森として安定する。森として安定し、持続可能な ための重要な条件は多様性である。土地本来の多様な 森には餌を求めて多種多様な動物が集まり、動植物の 死骸を求めてこれまた多種多様な土壌動物や微生物が 集まる。生滅流転を繰り返しながら全体としてバランス よく成り立つ森こそが諸行無常の自然の掟に従っている のである。生命の塊であるこのような森こそが自然の 一番強い状態であり、「管理しない管理」で少なくとも 人類生存中は存続する。 災害時には、すべての生き物の生きようとする意志が 森全体として発揮され、私たちを守り、たとえ大きな ダメージ を被ったとしても、自力再生できるのが高木・亜高木 ・ 低木からなる多様性のある森なのである。私たちは生物 多様性こそが持続可能な世界を成り立たせるための 担保であるという冷厳な事実を認識しなければならない。 フォレストベンチ工法は、水循環と生命循環を重視し、 自然との共存共栄を目指した土木技術である。 人間は 生き延びるために経済を重視しながら生産活動せざるを 得ないことは理解できる。私自身その恩恵に浴している ので、このことをすべて否定できない。 しかし、自然の掟、 つまり多様性を大切にしながら生産活動を続けるような 方向性を探るべき新たなステージに私たちは生きている のではないだろうか。今を生きる私たちの生き様が未来を 創るのである。 急斜面における多様性ある森とフォレストベンチ工法の 組み合わせは、強くしなやかな国民生活の実現を図る ための持続可能な防災・減災にとって欠かせない。

紀北西道路根来地区北改良工事
法人会員 中林建設㈱ 土木部工事長 山本 晋

和歌山県岩出市根来地区にて、近畿地方整備局 和歌山河川国道事務所発注の工事で全天候フォレスト ベンチ工法の施工を行いました。近隣には、国宝に 指定されている「根本大塔」をはじめ、桜・青葉・紅葉 など四季折々の景観で多くの参拝者の目を楽しませて いる根来寺が一望でき、まさに斜面の安定性と自然の 美しさの共存を可能にした、全天候フォレストベンチ 工法が必要とされる環境だと感じました。

工事概要は、施工面積が約827㎡の根来地区と約 681㎡の根来南地区の隣接する2現場を全天候フォ レストベンチ工法で施工するというものでした。 根来地区は、完成状態にある斜面に全天候型フォ レストベンチを施工する計画で以下の苦労があり、施 工期間にも多少影響がでた点を述べたいと思います。

①各段に足場が必要 足場材は一般的な単管足場を採用せず、斜面ノリ ダーダーという NETIS登録の足場を採用しました。 結果的には、単管足場と組立に関しての手間は 変わらないと感じましたが、丈夫な足場だったので、 施工中の安心感はありました。

②全ての作業において、揚重機が必要資材の運搬 荷卸しから埋戻しまで全てに揚重機が必要な現場 で、作業区間の両端に 50tラフターを据え付ける
スペースを確保しましたが、中央付近の約10mの 区間においては、ラフタークレーンが届かず人力にて 全ての施工を行いました。
③既存のアンカーとの接続が困難 既存のアンカー角度が 40°で施工されており、 ワイヤーの緊張が上手くいかず苦労をしました。

施工は、作業員8人の2班体制で行い、2班がフル 稼働できる工程を考え、約2か月半の期間で無事故 にて完了できました。

根来南地区は逆巻きの一般的な現場で、元請会社が 掘削をした後、当社にてアンカー打設 及び全天候 フォレストベンチの施工を行いました。根来地区と違い、 アンカーの角度が標準 (20°)であったので施工が スムーズにいきました。作業が進み、下段の施工になると、 根来地区同様でラフターを使用しての施工となりました。 春の長雨の影響で多少天候の影響がありましたが、 土工班、アンカー班、フォレストベンチ班の密な連携に より、手待ち時間も少なく、安全に施工を進める ことができ、2月20日頃に無事すべての工程を 完了させることができた。 施工中は、工事が進んで一段一段完成していく中で、 全天候フォレストベンチを通勤経路でもある根来寺 付近から見上げるのが、毎日の日課となり楽しみに なりました。また景観面では、全ての法面工法の中で全天候フォレストベンチ工法の右に出るものはないと 改めて感じました。少し寂しくはありますが、数年後には 苦労して施工した美しい間伐材の姿が見えなくなるほど 木々が力強く生い茂り、人間の手で一度壊された自然が 新たな森を再生してくれるのを望みます。
私どもと同様に、根来の山々の緑化を心から 望まれ、当工法の適用にご尽力をいただいた地元 や発注者の方々が、当工法の完成と森の回復を心から 喜んでくれているものと期待したい。

「技術の進歩による『作業性の向上』とコスト性について」
個人会員 フォレストセイバー 研究所 総代表 林 哲久

いの一番に下の写真をご覧ください。日野の工事 現場でのひとコマです。アンカー用の穴を、マシンを 使って開けている様子の写真です。 オペレーターは 岡ちゃん、その脇では大島組長(?!)が様子見をしてい ます。頑強体格の岡ちゃんの手元に注目してください。 マシン操作を≪小さなレバー≫でやっているのです。

操作は右手親指一本。しかも右手掌全体サポート・ ホールドする『サボりバー(?!)付き仕様』だし、左手用 のホールドバーも付いている。作業は正に『楽チン 楽ちん』(但し右利き専用だが・・・)これこそ、現場生 まれの新技術と言えるのではないでしょうか。

三年前の真鶴の工事では≪掘削マシン≫を使い ました。所謂『ドリル』です。相手は『岩盤』で した。振動と騒音は凄まじいもので、貧弱体格の 小生にはサポートが必要でした。・・・マシンの重量 を支え切れないために二人がかりで作業をしました。
(とても辛かった) 翻って日野では、『コレ』です。・・・ 真鶴での苦労は、あれは、何だったのか ?! 大島さん曰く 『未だ未だ改良の余地がある』・・・ (むむっ。じゃ、早く実行しな、よっ!!)

用具道具の進歩と共に『作業性』が 向上し、オペレー ターの負担が減少し、作業効率が上がった結果其れらは、 コストにも反映出来たとすると、正に『目出度し愛でたし』 です。 (開発者・導入担当者には『金一封もの』ですか?!ね。)

◎ⅰ新型掘削マシンを 複数台も投入することに拠って 工期の短縮が図れる。 ⅱ工事作業全体の設計 (プランニング) に新規性が 生まれる。 ⅲアンカリングはフォレストベンチの『華』です。工事 現場で複数台のアンカーマシンが並んでいる様 は素晴らしいと思います。『戦略的・壮観景観の 創出』を是非とも推進してください。(その折には 『良い写真』を撮りますから・・・。) *この話題に付随する事項は色々とあるでしょうが、今 日は割愛します。さて、次なる話題に移りますが、その前 にご紹介することは→技術進歩によって近い将来無くなると言われている仕事まとめ曰く■技術というもの進歩は目覚しく、その影響は あらゆる分野に及んでいます。 そして、技術革新に よって多くの仕事が機械化・自動化され人間の仕事はなくなっていきます。■・・・元ネタのURLを張っておきますのでご参照ください。

http://matome.naver.jp/ odai/2136208543659751601

先述した== 『ドリルマシンのオペレーションと新型 マシンでのレバー操作との対比』を例にとってお話し しますが、・・・自動車運転に於いての事例。 == トランス ミッション操作がATに拠って簡略化しました。マニュアル ミッションの操作パートに於いても進歩が見られます。 2ペダル操作とかシフト操作はスイッチに触れることで 実行できるとか(F1レースでは今や常識)・・・『レバーを 押しこむ』のではなくパシンパシンと、スイッチに触れ るだけです。そんなのは序の口レベルであり、車は限り なく自動化をされて行きます。もはや、『車』という概念 から外れており、最近では、ビィークルと評される程です。 因みに筆者の愛車はマニュアルミッション(5速)です。 二台目候補もマニュアル車ですし、人生最後の車と目し ているのもマニュアル車です。両手両足を駆使しての運 転に於いては、『煙草を吸ったり飲み物を味わったりオー ディオ操作を楽しんだり、はたまた、カーナビを弄った り等の作業をする気がしない。(ナビはついてます が電源を入れません)・・・そうです、『ローテク派』 です。古典主義者(?!)だからこそ、フォレストベンチに 魅力を感じています。フォレストベンチ工事は手仕事が 基本です。世の中には省力化や自動化が必要な分野が ある事は事実ですが、我らのフォレストベンチ工法は それらが成し得ない部分でも活躍しています。 真鶴や今般の日野現場に於いては一般の工事業者が 『施工を辞退した』いう事のようですが、栗原理事は じめ大島組に於いては『どこ吹く風、いや、何処崩 れる斜面 ?! 』。ごく普通に取り組んでいます。 スタッフも同様。いやはや、頼もしい。 日野はこれまでに六回、訪問してます。粛々と進む 工事、見るたびに安心が高まる景観、竣工時に現れる 素晴らしい景色を、私の手で写真手法で表現すべく、 また、関係者の関与をどのようにして写真で感じ させられるか?! 大きな課題を持っての 『日野通い』が続きます。

日野の現場には欅の大木があります。 この欅の 木はJR日野駅のホームからも見えますので、『欅の ランドマークの直ぐ下にフォレストベンチが見て 取れる ( 林は、撮れる?!) 』 というものです。 また、 中央高速道を下るときに、この欅を目印にしてフォレスト ベンチが確認できるはずですので、そのPR効果を 高める為に、『竹壁』の意匠にも工夫を凝らす事が求 められます。栗原理事発案の 『竹壁意匠』 はその 意味に於いても「正解」だと、・・・ この私奴も脱帽しております。(苦笑) ( 竹に『色彩的要素』を加味したら良いのですが、 その『秘策』には費用が掛ります。何とか したいところです。)

 

事務局だより

◆経済性より生物を死滅させることにもっと敏感に反応して欲しいと思います。もしかしたら、取り返しのつかない未来に向かっているかも、知れないのです。

◆持続可能な社会は、生き物が自然の力で自生できる環境を守ることが原点だと思います。そのような地球を後世に残すことが、今生きる我々の責務だと思うのです。

◆日置住職のご活動には頭が下がる思いです。 東日本大震災から4年が過ぎ、一貫して緑の防 潮堤を主張して来られましたが、400kmの 防潮堤計画の約4割がコンクリートで施工されてしまいました。

◆コンクリートが水辺の生き物を死滅させていることは、汽水域からウナギが姿を消し、カニや貝が居なくなったことから明らかです。

◆予算消化という悪習に染まり、メンテナンスコストが地元負担であることを忘れて、将来自分や子供達の首を絞めることに、無頓着なのです。

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