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「土砂収納・緑化階段工」の図面(CAD図)作製を担当して

フォレストベンチ研究会 宮崎支部 川添祐一郎

この度、栗原理事から指示された上記図面を作成しながら、防災力としてどのような内容が盛り込まれているか、感想を述べて見ることとしました。実は、パイプグリッドについては、その施工初期段階で接した一人であっただけに、フォレストベンチ工法から分岐し進化したこの工法に、今度はどのような機能が備わったのか、興味津々だったのです。

図に示すように外見上は、プリズム状ポケット(階段工)がパイプフレームの外側に設けられていて樹木の生長によって壁面が覆われても、凹型のポケットは空っぽに保たれ、これがのり面からの崩落土石の待ち受けポケットになっています。傾斜によって異なりますが、理事の計算によれば、階段の延長当り、ダンプカー1台相当の土石が収納できるそうです。

次にアンカーの機能について、新しいことを学びました。長さ5mのアンカーを地中へ打設したとき、その周面摩擦(付着力)によって、鋼材は降伏強度を超える力で地中へ固定され、地中に不動部を成すことを知りました。

逗子市で起きたこの度の事故では、のり面土石の落下を止める遮蔽物は全く存在せず、植生も育っていなかったとことが、専門家から指摘されていました。せめて樹木だけでも育っていればと思うと、残念でならないし、アンカーに繋がれたパイプフレームと金網が、のり面を面的に覆っていれば、結果は全く違っていたと思います。何より便りになるのは、次に図の中に示した3次元の座金によって、単管パイプ4本が、パイプフレームとして十字に組まれ、それがアンカーによって、地中に繋がれることです。のり面上で浮いた土石が有れば、“緑化階段工”のプリズムポケットによる土石収納機能と合わせて、崩壊土石は、二重三重に止められる仕組みです。

亡くなった若い高校生の無念さを想い、その年齢を数えるような無念な話ですが、何と言っても高所の土石を不動にする力学的仕組みを備えるべきでした。津波の際に、ヤシの木の枝にしがみついて助かった命があることも聞かされます。自然の営力は、手を変え品を変えて、我々の命を奪おうとします。その時に備える手立ては、頼りになる静止物・不動物を用意しておくことです。しかもそれは、経済的で低コスト・長命であることが、栗原理事の主張です。つまり手軽で安上がりであれば、人々の命に多くの機会を以て接し、救うことが出来るからです。

概して重いもの、高価なもの、手のこんだ物は、宝の持ち腐れになってしまい兼ねません。単管パイプは一般に、“作業足場”として建築の資材として多用されますが、その軽量さ、しなやかさ・低コストで捉えると、何とも実用的です。しかも耐食性という観点で捉えると、ZAM仕様やどぶ漬けメッキなど、低廉で長命な措置が施され、我々の知らないと延命力をもって、暮らしを支えています。

(緑の力を安全のシンボルへ)

緑化階段に育成される樹木として、ブナやクヌギ・ケヤキ等の広葉樹を用いれば、600年の寿命を以て身近なのり面を覆い、根茎を張り巡らせて地盤に引張り力を及ぼして緊縛してくれます。その根は樹冠範囲の数倍に広がり、風化・劣化した地表の土石を繋ぎ止めて、静止させて人々の命を守ります。その後は、天然交代次世代の命を繋ぎます。
気候変動に伴う記録的短時間豪雨や局地的豪雨等から、命を守るには、防災・減殺活動が欠かせませんが、防災機能の評価は失われた命の数で図るものでなく、救われた命で評価されるべきです。 森の力が、防災力の象徴として人々の目に映るようになれば、森の不足は安全の不足として認識され、安全が可視化されてより防災力は身近なものになると思われます。

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