鋼材の「引張り強さ」と「耐食性」に関する考察

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フォレストベンチ研究会 宮崎支部長 川添祐一郎

台風15号は、“東京湾台風”という異名も付けられて、神奈川県の東岸から千葉県の西岸を総なめにして猛威を振い、その後2週間が過ぎても、電力が通じない住宅17万戸の悲惨な孤立化を発生させ、甚大な損害を残して、太平洋を北海上へ過ぎ去った,

今回の舞台となった房総半島はどちらかと言えば災害的には平穏な地域であり、そこに広がる多数の市町村が、2週間も電力・水・生活物資不足に陥るという、ライフライン孤立地帯と化したのである。その最大の原因を成したのは半島全体を覆っているパワーグリッドと呼ばれる電力網の機能ダウンであり、それを支えている鉄塔の大半は、1970年代に築造されたもので、その主要部が倒壊して電力輸送力が失われたことによる。

我が国の家庭は、既に過度に電力に依存した暮らしの上に成り立っており、インフラや物資輸送を含みライフライン全体が電力不足では成り立たない仕組みになっている。昨年起きた北海道でのブラックアウトも、他山の石とすべきであり、一歩間違えれば、首都東京そのものも埋没させかねない警告を受けた格好である。首都機能を死守すべき人達にとっては、“さぞ肝を冷やし”“をなでおろしたであろう”、同情した次第である。

“百年に一度の巨大地震”にも
“忍び寄るインフラ老朽化にも”備える時代になってきた。

我々の命は、忘れたころにやってくる災害さえ忘れなければ、助かるものでは無く、忘れる間もなく訪れる災害に備えることから、日々救われるものです。インフラの老朽化は、誰にでも平等に訪れる時間という大敵によって、配分されるものです。“インフラ”も“ライフライン”も、生命を支える平等な資本です。従って、役に立つ技術は、社会的市場性で峻別されるだけでなく、公共性が加味された市場性が、優先されるべきと考えます。

老朽化インフラの課題は、道路など交通インフラの主役である「橋梁やトンネル」が中心であるが、今回停電に関係した鉄塔や電柱は、その殆どが早期に市街化が進んだ地域のインフラの老朽化ですから、人々が多く密集して居住する地域ほど重症であり増大する傾向にあるのが特徴である。つまり、先行して市街化“住宅化”の進んだ区域ほど重篤である。災害が起きると決まって“百年に一度の規模として諦めを誘う報道がなされるが、今回の千葉や神奈川をみても、先行して市街化“住宅化”の進んだ区域が、対象になったのではないか。

房総半島の山林の中に倒れた多くの鉄塔や電柱も、下手すると首都東京の繁華街にでも起きうる現象である。鉄塔の多くは、1970年代に建造されたものであり、その老朽化は年々進むから、老朽化を止めるには、その引張り耐力に改善を施すしか方法はない。

当方が開発し、フォレストベンチ研究会の会報で紹介している”切れ目の無い引張り構造“(大島社長記述)によれば、コストを上げる必要もなく、鋼材の品質を更新することが可能です。その年限は、好きなときに取り換えればよく、鉄塔等と同質であるから、扱いも容易である。

台風に対して有力とされる地中化は、電柱の1㎞当りの復旧費が、2~3千万に対して、地中化は同じく4~5億円に上ると、マスコミは報じている。電柱には“スパイダーワイヤー”という景観上の課題もあるが、地中化の20分の1で済む低コストという利点がある。

老朽インフラの最大の課題は財源問題であり、国と地方を合わせた借金が、1千兆円に達し、今後の老朽インフラを如何にして維持改善してゆくか、岐路に立たされている。私は、電柱における“スパイダーワイヤー”の景観上の課題も含めて、技術面から低コストと高い品質向上を実現して、インフラの老朽化に歯止めをかけていくことは可能と考えます。

「この報文をまとめるに当っては、栗原理事の監修を受けておりますことを申し添えます」