-緊急提言- 「切れ目のない引張り構造」で“巨大災害”に備えよう

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㈲大島技工 代表取締役 大島利男

台風の季節の最中ですが、先の10号の雨を遥かに上回る前線による “記録的短時間豪雨“が九州北部を襲い、甚大な被害をもたらしました。 片や、南海トラフ地震に伴う犠牲者数は、政府の“中央防災会議”の目標値を大幅に上回っており、百年に一度とは言え、関東大震災並みの激震が起きれば、未曽有の犠牲者が懸念されます。

国土における傾斜地の割合が7割を超える我が国において、上記の記録的短時間豪雨やプレートの衝突で起きる巨大地震に襲われると、地表の崖はことごとく揺れ動き崩れ落ちる危険に見舞われます。 傾斜地が崩れ落ちないよ う に保つには、斜面土砂を不動状態に保つ “引張力”と“透水機能”が不可欠であり、それを適えてきたのが、フォレストベンチ工法です。

しかし近年の線状降水帯や記録的短時間豪雨に対して万全かと言えば、 “土砂透水性の違い” によって、引張力の掛かり具合に違いに差が存在することが分かってきました。

それを克服するために開発されたのが、写真に示す切れ目の無い引張構造です。  発案者の栗原理事の指導によって、試行的に実施した事例ですが、これは「引張リング」及び「Vボルト」と「箱型座金」から成るもので、これら全ての鋼材が圧縮状態で繋がっていますから、離れることも切れることも無く、 その両端を結び付けるアンカーの役割を果たします。「それを実現するには何と言っても、錆の進行を遅くする延命策を練ることです。

鋼材の材質の違いで、引張強度だけでなく、耐久性にも違いが生まれることになれば、7倍の時間的余裕が生まれます。 100年に1度の災害が、14年に1度という頻度となれば、老朽化の進行も7分の1となり、防災効果は強度の二乗に等しい49分の1に軽減され、巨大災害には効果絶大です。

たこ足状のVボルト

「切れ目のない引張構造」中のVボルトの太さや本数を増やす措置を施せば、従来構造との差は、コストの差を遥かに超えて、安全な時間が生み出せます。

私共がこれまで実施してきた維持作業の経験で捉えても、引張り耐力と時間的余裕との積で利点が生まれ、より確実な補修作業が可能になります。 錆が酸素との結びつきで進行することを踏まえると、巨大“引張リング”の使用には、交換用のVボルトと座金を予め先行してセットしておく等、今後の工夫に多くの楽しみが存在します。