減災と防災-フォレストベンチの大いなる可能性②-(津波対策・防潮堤に代わるもの)

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フォレストベンチ研究会 理事 河西悦子

新年号「令和」になって半月たちます。年号についての解釈もいろいろ言われていますが、どのような時代になっていくでしょうか?

この5月4日と7日、大月近辺で雹が降りました。気象変化もますます激しくなっていきそうです。政府の地震調査研究推進本部は2月26日、青森県東方沖から房総沖にかけての日本海溝沿いで、今後30年以内にM7クラスの地震が発生する確率は90%超という驚くべき予想が公表されました。沿岸部に暮らしている人々にとって、地震と津波は一体です。できる限り早急な防災対策が急務ですが、津波への防災対策として国や県が推し進めているのは、まずは防潮堤ではないでしょうか。

―伊豆半島の地震津波対策―

以前、フォレストベンチの総会で、「東日本大震災からの教訓―防潮堤を勉強する会(気仙沼市)がたどった経過―」と題しての三浦さんの「宮城県で進められている防潮堤事業は、決して実例として東北から出して欲しくないと願っている。」という言葉は今も耳に残っています。

残念ながら、静岡県では、もう既に遠州灘の海岸線に、かなりの距離の防潮堤がもう既に作られてしまっています。伊豆半島では南伊豆町・下田市等、津波対策地区検討会が、地区毎に行われ、その検討会では静岡県の静岡方式(上図静岡県のHPより)が提示され関係者が協議検討、平成29・30年、静岡県の下田土木事務所のHPに各地区の津波対策の基本方針が公表されています。東北や遠州灘のような巨大な防潮堤ではありませんが、一部地域では、コンクリートの津波対策施設として、以下のようものが設置されることになったようです。

下田港地区現況 (下田港地区の津波対策基本方針より転載) 津波対策施設設置イメージ

この3月、NHKで震災8年目の特集番組で、―伊豆の国市の津波対策、最新の備えー取り上げられていたのが、たまたま目に留まりました。以前から、下田や南伊豆の津波対策として地元の人に提案するため考えていたこと、栗原さんに色々検討いただいていたことと同様のことが、伊豆の国市の対策の中に盛り込まれています。

 伊豆市“海と共に生きる”~観光防災まちづくり推進計画~第2版平成29年12月

 観光・環境・防災のバランスのとれた海と共に生きる街づくりの実現に向けて

―4つの取り組み方針―

  1.共生する:リスクを理解し、工夫を積み重ねて安全性を高めるエリアの形成  

  2.逃げる:住民、観光客、従業員などの安全性を確保するための警戒避難体制の構築

  3.生き延びる:地域が早期復旧するための支援機能の向上

  4.守る・減らす:地震・津波・土砂災害による被害を少しでも減らすための防災・減災対策の推進防災も観光資源として活用、積極的な情報発信、地域の産業の活性化につながるよう観光と防災を関連付け、防災が観光の一翼を担う体制を積極的に創出する。

栗原さんの提唱する、パーキングエリアは、まさに観光・環境・防災のバランスのとれた海と共に生きる街づくりに相応しいものではないでしょうか。

伊豆半島の津波対策として、街中に行くまでの途中の海岸線沿いの道路についての取り組みは見えてきません。下田に行くとき、東伊豆の海岸線を車で走っていると、時々、今大きな地震が起きたらと不安に駆られます。観光地として、そこへ辿り着くまでの道路・線路が津波の危険性があるエリアであれば、その対策が必要です。

その対策として、栗原さん考案の最新版≪無限につながる命のパーキング≫構想。

地震発生から津波襲来までの短い時間で、車で走行中のあまり地理感も無い観光客などが助かり、また地元の人々も生活の中で移動中の道路の津波対策。標高30メートルまで1分以内に走行で到達できる幾何構造、一定の間隔で避難用階段と共に整備されていれば、観光資源としても活用できるのではないでしょうか。海岸線に囲まれた日本で、コンクリートのり面の劣化問題を恒久安定させる方策としても有効であり、防潮堤を作る費用に比べれば、格段に低価格で実現できるのではないかと思います。