減災と防災 - フォレストベンチの大いなる可能性

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フォレストベンチ研究会 理事 河西悦子

今年は平成が終わり、新たな年号の年が始まります。

平成の年月を振り返ってみると、あちこちで自然災害が多発した印象があります。阪神・淡路大震災が起きたのは、24年前の1月17日。東日本大震災もこの3月で8年になります。毎年のようにあちこちで様々な大規模災害が起き、気象変化も激しくなってきているように思われます。

【大月市内台風による斜面崩壊のその後】

2016年7月の台風では、我が大月市内において、線状降雨滞の影響により、人的被害はなかったものの、岩殿山周辺で何か所もの斜面崩壊の被害が起きました。未だかなりのところは復旧していません。復旧のための工法について、フォレストベンチの栗原さんにも参加して頂き、昨年7月、県・大月市を交えて勉強会『岩殿再生フォーラム』を開きました。しかし、残念ながらフォレストベンチ工法は検討の俎上にも載りませんでした。

道路公団の管轄の場所の崩落は現在このような修復(と言えるのか?)がされています。岩殿山に登る人たちの駐車場の前ですが、がっかりしてしまうようなコンクリートの吹付です。

市内には、あちこちに未だ崩落がむき出しのところが目につきます。我が家近くの住宅地裏手で、台風の後、小規模の斜面崩落のところがあり、しばらくブルーシートが掛けられていて気になっていました。数日前そのブルーシートが剥がされ工事が始まっていました。直接影響を受ける直近の住宅の方に話を聞くことができました。斜面は県有地ということで、県の工事です。我が家のフォレストベンチのところも知ってはいたようです。「我が家と同じようなふうにやると聞いている。」しかし、我が家の状況やフォレストベンチについて説明しようとしたのですが、「県の方でちゃんとやってもらえるから大丈夫だ。」と全幅の信頼です。自分に関わってくるようなことでも、公共が関与することについては「お上任せ」「お上のやることなら大丈夫」ということがまだまだ蔓延しています。工事関係者に聞いたところ、コンクリートのフリーフレーム、その中に草の種を植えてということです。ここなどはフォレストベンチ工法の適地と思っていたのですが残念でなりません。

これからの時代、人任せで自分や家族の身が守れるでしょうか?どのように自然災害と向き合っていくのか?市民一人一人がしっかりとした自覚を持ち、自分自身で判断もしていかなければならない時代に入っていくのではないでしょうか。公共の関与する工事ならばなおのこと、影響が大きくなります。自分に関わることにはしっかりと目を届かせていかなければなりません。そこで、フォレストベンチの減災・防災についての役割も見えてきます。

フォレストベンチ工法等を普及させるためには、具体的メリットを一般の人々にわかりやすく(簡単なパンフレット等)、そして同時に決定権を持っている人(議員・首長)に知る機会をできるだけ作っていく必要があります。

【これからのフォレストベンチの役割-減災・防災の工法として】

①土石流障壁:透水性鋼製柵

土石流災害から命を守る最も確実で経済的な方策として考えられた透水性鋼製柵。日本中斜面災害の危険性はいたるところにあります。我が山梨県・大月市などは平坦地の方が少ない地形故、斜面を切り開いて住宅地が作られているところも少なくありません。ハザードマップも危険区域・警戒区域だらけです。しかしどこか引っ越すといっても庶民はままなりません。大なり小なり山を背にしてかなりの家は建っています。

巨石の衝撃を至近距離で受け止めて、家屋ごと命を守ることができれば、大きな減災となります。

北海道での実証実験で示した物より更に3倍もの高効率構造になって安全性がさらに高まったというのは減災・防災の大きな味方になるのではないかと希望が持てます。

②海中防潮堤

 海中防潮堤。宮崎県議会で発表なさったと聞きました。専門的な内容の把握はできませんが、考え方として海の中で水の力をいなす・海の生物とも共生できる考え方、素晴らしいと思います。確か新日鉄さんの関係で海の生物を豊かにするために鉄の漁礁を海に沈めて実験しているということを聞いたことがあります。海を豊かにするとともに津波を減災していくことが可能ではないでしょうか。

 昨年の12月、インドネシアで起きた火山の噴火による津波、大きな地震が起きないで起きた津波などに対しても、海の中で津波を制御していく考え方、効果が発揮できればいいなと期待が高まります。

災害をなくすことはできません。しかし被害を可能な限り少なくしていくことは可能です。

新時代に向けて、フォレストベンチ工法の減災・防災への大いなる役割ではないでしょうか。