「火の文明」からの卒業 - 100万年ぶりの大変革

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フォレストベンチ研究会 会長 村沢義久

随分遅くなりましたが、新年のごあいさつを申し上げます。

私の住む軽井沢は標高1000メートル近い高原で、丘や山の間に住宅や別荘が建っているような町です。西隣の佐久市へ行く道は何本かありますが、裏街道を行くと急斜面の連続で、セメントで固められた崖をよく見かけます。フォレストベンチ工法を教えてあげなければなりません。

火の文明

ところで、私は太陽光発電と電気自動車(EV)の推進をライフワークとしています。フォレストベンチとは直接関係はありませんが、どちらも、地球環境を守る、と言う共通目的を持っていると思っています。

私の考え方の基本は、「ものを燃やさなければCO2は発生しない」ということです。火力発電は化石燃料を燃やして電気をつくり、自動車はガソリンや軽油を燃やしながら走っています。そこで、私が提唱しているのが、「火を使わない文明」です。       

人間は火を使う唯一の生物だと思います。人間の特徴を表す言葉はいくつかあります。「道具を使う」、「言葉を使う」、etc. しかし、これらは絶対的なものではありません。

チンパンジーは木の枝などの「道具」を使って、アリやシロアリ を釣って捕食します。また、カラスが、線路の上にクルミを置いて電車の車輪で割って実を食べることも良く知られています。これらは、原始的ながら、動物による道具の使用例と言えます。言葉についても、動物たちは鳴き声などでコミュニケーションをとっているから、人類特有とは言えません。

しかし、火の使用は違います。動物の中にも、自然発生した火を何らかの形で活用しているという例はあるのかも知れませんが、少なくとも、自ら火を起こして使う生物は人間だけです。

人類が火を使い始めたのは大体100万年ぐらい前のことと推定されています。つまり、「火の文明100万年」ということです。

火の役割

火の役割には大きく分けて3つあります。1番目は光源、2番目は熱源です。3番目は祈りなどの「儀式」の小道具ですが、環境とエネルギー問題に対する影響は小さいので、ここでは光源と熱源の2つについて考えてみましょう。

初期の人類にとって、夜の闇は大きな恐怖でした。そこで、焚火やたいまつを使うと明るくなり、夜でも周囲が見えるようになります。しかも、多くの動物が火を怖がるから身を守ることができたのです。

夜は寒くなるので、暖房のための熱源としても火は必須でした。熱の利用の一つの形態が調理です。それから武器。大昔から火矢が使われ、火薬が発明されると、殺傷能力が急増しました。さらに、現代では熱は動力源として使われており、これで工業が発達しました。

このように、人類の文明は、火の使用と共に始まったのです。すなわち「火の文明」の幕開けでした。

脱「火の文明」

人類は火の使用により、計り知れない恩恵を得ましたが、プラスがあればマイナスもあります。特に、近年では、燃焼によって発生するCO2が地球温暖化の原因として大問題となっています。我々が使う燃料は、石炭や炭はもちろん、石油やガスにも水素とともに炭素が含まれます。つまり、ものを燃やすからCO2が発生するのであり、逆に言えば、燃やさなければ、CO2は出ない、ということになります。

私の提言は、100万年ぶりに火の使用をやめよう、というものです。代わりに使うのは電気です。光も熱も電気で供給できます。自動車の動力も現在は内燃機関中心ですが、徐々に電気モーターに置き換わりつつあり、2050年までには、主要国を走る車は全て電気自動車になります。

このように、光源、熱源を電気で賄うようになれば使用現場でのCO2の発生はなくなります。ただし、発電所で化石燃料を使ったのでは台無しです。だから、自然エネルギーで賄わなければならないのですが、その中でも一番実現が容易なのが太陽光発電というわけです。

最後になりましたが、本年が皆様にとりまして良き年となりますよう、願っております。