現場だより(平成30年1・2月)-引張り材の盲点-

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◆ワイヤー・ロープのような引張材が、その軸方向のみに働く引張り力を受け持つ場合(吊り橋やエレベーター等)でなく、軸方向と直角でしかも重力が長く継続的に働く場合には、その機能に大きく変化が生じることが知られています。

◆綱渡りに例えれば、ロープに芸人の重さが作用して垂れ下がると、ロープが垂下した分の引張り力が、一般に1割増しとなることが知られています。

◆フォレストベンチ工法で用いるワイヤーは、アンカーと受圧板との間に直線的に張った後に土砂が埋戻される仕組みなので、これまでこの垂下現象を心配することはありませんでした。

◆しかし今回報告されたように、残留沈下を残したままの盛土地盤の内部でワイヤーが用いられると、長い時間の継続でワイヤーに切断が起きることが判明しました。

◆幸い、アンカーとして用いているASボルト(鉄筋)であれば、曲げやせん断耐力が十分で、砕石を丹念に転圧すれば残留沈下地盤を吸収して、引張材を保護してくれます。

◆これはワイヤー独特の、たわみ・変位・弾力性等の利点が裏目に働いた結果です。圧縮力には座屈という曲げ破壊の盲点があり、引張り力にも類似する垂下現象があるのです。

全てのものには、強さと弱さの両面が存在することに基づいて、適材適所で用いるべきという教訓です。